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高配当株投資を始めてみよう④~米国ETF(前編)~

初心者は米国ETFから始めよう

さて、前回はETFについて解説しました。今回は初心者におすすめの米国ETFについて解説します。

おさらいになりますが、米国ETFとは、米国の株式市場で取引することができる「上場投資信託」のことです。ETFはある特定の指数に連動するように運用され、例えばS&P500に連動するETFであれば、そのETFを購入するだけで米国を代表する大企業500社に分散投資することができます。

もちろん、日本の株式市場にもETFは存在します。日経平均株価に連動するETFに投資すれば、それだけで日経平均に組み込まれている企業に分散投資できます。

そうであれば、わざわざ米国ETFではなく日本のETFを購入すればよいのではないかと疑問に思われたでしょう。

いくらETFで分散投資できるとはいえ、名前さえ知らない米国の企業に投資するのは抵抗感があるでしょう。ではなぜ投資初心者の方に米国ETFをおすすめするのか、その理由を解説していきます。

米国ETFをおすすめする3つの理由

①人口増加が続く≒経済発展が見込める

米国ETFをおすすめする最大の理由は、米国は今後も人口増加が続き経済発展が見込める可能性が高いからです。

人口が増加し続けることは、資本主義社会において経済成長するには非常に重要なことです。単純に人口が多ければそれだけ消費活動が活発になり、それに見合った生産活動も行われるからです。

どの先進国も人口減少が課題となっており、少子高齢化社会の到来による経済の低迷が危惧されています。現在日本も人口が減少しており、2050年過ぎには1億人を下回ると予想されています。

また、日本は諸外国と比較してここ数10年は経済発展から取り残され、人口減少が続く中で経済の急激なV字回復の可能性は残念ながら低いと言わざるをえません。

もちろん日本で生活している以上は日本企業に投資するという姿勢(応援するという意味も含め)も大切だと思いますが、経済発展する国に投資しないことには投資による資産形成は困難になります。

投資対象国を選定する際には、人口増加が続く≒経済発展が見込めるかどうかというのは最初に考えなければならないことと言えます。

②企業の株主還元意識が高い

2つ目の理由は、米国企業は株主還元意識が高いということです。

皆さんは「企業(株式会社)は誰のものですか」と聞かれたら何と答えますか。株式会社の仕組みを知っている人であればすぐに答えが思いつきますが、なんとなく従業員全員のものと考えがちです。

正解はというと、株主のものです。株主というのは企業に出資しているオーナーの一人でありますので当然と言えば当然です。この意識が米国には強く根付いており、企業の利益を株主に還元することに注力してくれます。

最近は日本企業でも株主還元意識が高まってきていますが、それでも米国企業の株主還元意識の高さには敵いません。

株主還元意識の高さは、連続増配年数に表れています。米国には30年以上も連続して年間配当金を増配し続ける企業が数多くあります。日本では、花王が約30年で最長となっています。

過去30年間には、リーマンショックや直近だとコロナショックもあります。こういった未曽有の経済危機であったとしても株主への還元意識を失わないあたりは、企業の経営者に株主還元の意識が浸透している証拠であります。経営者が株主のことを第一に考えてくれるので、投資家は安心して投資できるというわけです。

③ドル資産を保有し、リスク分散する

3つ目の理由は、ドル資産を保有し、リスク分散するというものです。

私たちの多くは、日本企業や組織で働き給料も円で受け取っています。給料から日本企業に投資したとしても、金融資産を全て円で保有していることになります。

これでは資産のリスク分散にはなりません。なぜかというと、円の価値が著しく落ちた場合に円しか保有していないと、円建ての金融資産の価値が大きく毀損するためです。

そこでドル建ての金融資産として米国ETFを保有すれば、円以外にもドルという主要通貨にも資産をリスク分散できるというわけです。

たしかに、円とドルのレートが変動することにより為替リスクが存在することも事実ではありますが、円建ての金融資産しか持たないことのリスクの方が大きいというのが一般的な考え方ではないでしょうか。

ドルに対して円高になればドル建て資産は目減りしてしまいますが、逆に円安になればドル建て資産は増えるわけです。

米国ETFをおすすめする理由まとめ

最後にもう一度おさらいしましょう。

米国ETFをおすすめする理由

①人口増加が続く≒経済発展が見込める

②企業の株主還元意識が高い

③ドル資産を保有し、リスク分散する

それでは次回も米国ETFを解説していきます。