今回紹介するのは「USMH(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)」という首都圏を中心にスーパーを展開する企業です。
USMHの名前は聞いたことが無くても、マルエツ・カスミ・マックスバリュ関東といった食品スーパーマーケットの名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
USMHは、それらのスーパーマーケットの運営などを行っています。
そして株主優待が優れている銘柄としても知られています。
現在USMHへの投資を検討しているので、投資の際に参考になるよう銘柄分析をしてみました。
USMH(3222)
事業
USMHは会社設立が2015年と比較的新しい企業です。
というのも、2015年にマルエツ・カスミ・マックスバリュ関東の経営統合で設立されています。
そしてUSMH自体はイオンの子会社になっているため、イオン系列のスーパーマーケットと考えて差し支えないでしょう。
これらのスーパーマーケットは、関東を中心に以下のように展開しています。マルエツは南関東、カスミは茨城県に店舗数が多いです。
そして営業収益は、522店舗で約7200億円です。1店舗当たりの営業収益は約14億円になります。
スーパーのブランドによる営業収益(1店舗当たり)の違いはほとんどありません。
スーパーマーケットというと最近では多様なサービスを展開している印象ですが、USMHでも新しい取り組みを始めています。
その代表的な例が「スキャンアンドゴー」と「オンラインデリバリー」です。
スキャンアンドゴーは、自分のスマートフォンがレジになる決済サービスのことです。
専用のアプリをダウンロードし、レジに並ばなくても会計を済ませることが可能になります。
これから日本では人手不足が深刻化するため、最小限の人員で店舗運営が可能なように移行している段階といえます。
オンラインデリバリーは、各店舗の商品をネットで注文して自宅や店舗で受け取れるサービスのことです。
共働き世帯が増加したこともあり、スーパーマーケットに行かなくても(もしくは滞在時間を最小限にして)買い物をできるのは、時間の節約になって需要がありそうです。
株価
まず、株価の6か月チャートを見ていきます。
2022年は米国株がベアマーケット入りして世界中の株式市場が軟調な動きです。
ところが、USMHの株価は底堅く推移しており、おおよそ1000円から1100円のレンジで動いています。
スーパーマーケットなどの食料品を販売する企業は、他の業種に比べれば不況に強い(景気が悪くても食料は買う必要があるため)です。
また、USMHは配当利回りこそ低いものの株主優待がお得であることから、株価が下落しにくいと考えられます。
次に、 株価の設定来チャートを見ていきます。
2018年に株価が1400を超えることもありましたが、基本的には1000円から1200円のレンジで動いていると考えてよさそうです。
また、2020年3月のコロナショック時には一時的に株価が下落しているものの、その後は巣ごもり需要の拡大によりスーパーマーケットには追い風となりました。
今後は巣ごもり需要もひと段落して以前と同様の経営環境に戻ると予想されます。
さらに営業収益を増やしていくには、先ほど紹介したようにオンラインデリバリーなどで顧客を競合他社から奪えるかがポイントになります。
スーパーマーケットの営業収益は、日本がこれから人口減少社会を迎えることを考えると、大きく伸びる余地は無いといえます。
そういった環境の中でいかにして顧客を自社のスーパーマーケットに呼び込めるか、そして例え営業収益は横ばいでも店舗の運営コストをカットして営業利益につなげることができるかを見極める必要があるでしょう。
売上高(営業収益)
それでは、USMHの売上高(営業収益)の推移を確認していきましょう。
現在も成長中の企業であれば売上高は毎年増加しているはずですが、USMHの場合はどうでしょうか。
2021年2月期はコロナによる巣ごもり需要を取り込んで例年よりも売上高は高くなっています。
全体的な傾向としてはやや増加していますが、ほぼ横ばいととらえて問題ないでしょう。
食料品や日用品を取り扱うスーパーマーケットでは、景気にはそれほど左右されずに売上高を最低限確保できます。
売上高はどちらかというと出店数に依存するはずです。
もし仮に不採算店舗を閉鎖した場合、一般的には売上高は減少しますが、営業利益の改善(≒EPSの改善)につながります。
そのため、売上高は微増であることを頭の中に入れて、EPSがどういった推移をしているか確認することが大切です。
EPS
次に、USMHのEPSの推移を確認していきましょう。
EPSは1株純利益のことで、利益がどれだけあるかを示す最も重要な指標です。
このEPSが増加していれば、利益が増加しているといえます。それに連動して株価も上昇します。
USMHのEPSは、コロナ前の2020年2月期に大幅に落ち込んでいますが基本的には40円~60円のレンジで収まっています。
コロナによる巣ごもり需要が顕著であった2021年2月期はEPSが約69円と通常よりも高いです。
さきほどの売上高は微増の傾向であることを確認しましたが、利益(EPS)の推移を見ると年ごとに多少の差があることがわかります。
売上高は微増でも、EPSも同じように増えていないと良い業績とは言えません。
EPSが伸びていないことから、株価も横ばいで推移していると考えられます。
自己資本比率
次に、USMHの自己資本比率の推移です。
自己資本比率は財務の健全性を表す指標で、自己資本比率が高いほど財務の健全性が高く、倒産しにくい企業といえます。
自己資本比率は50%前後推移しています。
一般的に自己資本比率が80%以上になると財務健全性が高く、(財務健全性の視点では)優良企業と評価されます。
一方で、自己資本比率が30%以下になると財務健全性が低く、(財務健全性の視点では)問題のある企業と評価されます。
ただ、自己資本比率は業種によって大きく異なるので同業他社や過去の自己資本比率と比較することも大切です。
上記のことを考慮してUSMHの自己資本比率を評価すると、自己資本比率はほぼ50%と横ばいで推移しており財務的に問題を抱えているわけではないことがわかります。
配当金
USMHの配当金を確認していきます。
過去7年間の配当金はやや増加傾向であることが分かります。
コロナの特需があった2021年2月期に最も配当金が高く、今期はその時と同額になると予想されています。
配当金はEPSから捻出するため、EPSが毎年増加傾向でないと配当金の増配を継続するのは難しいです。
先ほどEPSを確認したように、基本的には横ばいで推移しています。
そのため、配当金はどこかで増配がストップすると考えるが妥当です。EPSが増加しない限り、今の水準を維持するので精一杯と予想しています。
現在の株価で配当利回りを計算すると約1.6%と高配当銘柄ではありません。
しかし、次で紹介するように株主優待がとても充実しています。
株主優待
USMHは、株主優待がとても人気があります。
株主優待は保有株数に応じて異なり、以下の表のとおりです。
大きく分けて、①USMHのスーパーマーケットで使える優待券 ②食品(どれか1つを選べる)のどちらかを選ぶことになります。
仮に100株保有していた場合には、「3000円分の優待券」もしくは「食品」がもらえます。
優待券はスーパーマーケットの買い物で日常的に使え、ほぼ現金と同じように活用できるのがいいですね。
また、近くに店舗が無いという場合には食品を選択できます。優待券が3000円相当であったのに対して、食品だと1500円~2000円くらいの価値しかなさそうなのが少し残念です。
とはいえ、年に2回も株主優待がもらえるのはお得感もあり、投資していて楽しい銘柄でもあります。
現在の株価で優待利回りを計算(優待価値を3000円相当×2とみなす)すると、優待利回りは5.3%になります。
配当金と株主優待の利回りを合計した総合利回りは約7%と投資対象として魅力的といえます。
約10万円で投資可能な点もありがたいですね。
まとめ
今回は「USMH(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)」という首都圏を中心にスーパーを展開する企業を解説しました。
USMHは、配当利回りと株主優待の利回りを合計した総合利回りが約7%と高利回り銘柄です。
スーパーマーケット系の銘柄は保有していないので、株価が1000円付近まで下落したら投資したいと考えています。