決算:タカラレーベン(8897)
タカラレーベンの第二四半期の決算が発表されました。
タカラレーベンは、今年の7月に株主優待(お米券)の廃止を決定してから株価が低迷しています。
そして今回の決算内容も良くなかったことから、株価が更に下落するという苦しい状況です。
それではどんな決算内容であったか解説します。
決算の見どころ
今回の決算の見どころは以下のとおりです。
×売上高50,098百万円(前年同期比2.9%減)
→新築分譲マンション事業において引渡戸数が438戸と前年同期に比べ229戸少なかったことで売上高が減少
×営業利益566百万円(前年同期比69.4%減)
×経常利益-112百万円(赤字転落)
→販売費及び一般管理費(人件費や営業費用)の増加による利益の減少
第2四半期累計の売上高・営業利益・経常利益は、前年同期比で減収減益になりました。
その主な要因は、新築マンション事業において引渡戸数が減ったことによる売上高の減少、人件費や営業費用が増加したことによる利益の減少などがあります。
それでは、もう少し詳しく決算内容を見ていきましょう。
売上高:500億98百万円(前年同期比2.9%減)
売上高は、500億98百万円(前年同期比2.9%減)と減収になりました。
売上高が減少した主な理由は、新築分譲マンション事業において引渡戸数が438戸と前年同期に比べ229戸少なかったためです。
この事業の売上高は、前年同期比で約100億円減少しています。
新築分譲マンションがあまり売れていないというのが、売上高の減少につながっているのです。
タカラレーベンが得意としているのは、都会ではなくどちらかというと地方の分譲マンションになります。
今後、コロナの影響が徐々に減っていく中で地方のマンション需要が回復するかどうかがカギです。
営業利益:5億66百万円(前年同期比69.5%減)
営業利益は、5億66百万円(前年同期比69.5%減)と減益になりました。
営業利益が減少した主な理由は、①売上高の減少 ②販売費及び一般管理費の増加の2つです。
売上高が減少した原因は新築分譲マンションの販売不振でしたが、販売費及び一般管理費が増加した原因は何だったのでしょうか。
販売費及び一般管理費の内訳(前年同期比)を見てみると、人件費やその他(営業費用)が増えていることが分かります。
マンションなどの不動産を販売するには、営業マンの人件費や各種費用が必要になってくるので、ここをいかに抑えながら売上高を戻せるかがポイントになりそうです。
経常利益:-1億12百万円(赤字転落)
経常利益:-1億12百万円(赤字転落)と減益になりました。
その理由は営業利益の減と同様に、①売上高の減少 ②販売費及び一般管理費の増加の2つです。
また、営業外費用として支払利息が約3億円増加(前年同期比)したことも、経常利益が赤字に転落した原因の1つでしょう。
業績予想と株価
業績予想
第2四半期決算では、前年同期と比べて売上高および利益が減少したことがわかりました。
第2四半期が終わって経常利益が赤字という苦しい状況ですが、今のところ業績予想の下方修正は出ていません。
今期の業績予想によれば、経常利益は71億円の予想です。
現時点で1憶円の赤字に終わっているのでここから巻き返せるかどうか注目している投資家が多いと思います。
このまま業績が改善されなければ、下方修正がいつか発表されて更なる株価の下落を招くかもしれません。
売上高進捗率(セグメント別)
決算資料を見て気になったのが、売上高の減少です。
そこで、新築マンション事業を含む不動産販売事業の売上高進捗率を見ていきたいと思います。
不動産販売事業の進捗率は、第2四半期が終わって33.0%と苦戦しています。
それ以外の事業は前年同期と比較して売上高が増えているのですが、不動産販売事業と比較して規模が小さいです。
そのため、不動産販売事業の不振を補うことができていないといえます。
やはり、タカラレーベンの主力事業である不動産販売、特に新築マンション事業で売上高を回復させないことには、今期の目標の売上高に到達するのは難しいかもしれません。
新築分譲マンションの売上戸数を上げていく必要があります。
株価の動き
今期の株価は低迷しており、その原因は2つあります。
- 株主優待の廃止
- 決算が悪い(第1四半期・第2四半期)
当然ではありますが、株主にとってどちらも良いニュースではないために株価の下落を引き起こしています。
株主優待の廃止(7月30日発表)、第1四半期決算( 7月30日発表)、第2四半期決算(10月29日発表)を株価チャートに追記してみました。
まずは、株主優待の廃止の発表で株価が暴落しています。
タカラレーベンの株主優待はお米券がもらえていましたが、それが廃止されてしまい配当金による株主還元だけになりました。
もらえるはずの株主優待が無くなり、タカラレーベンの株を手放す人が多くなって株価が暴落につながったというわけです。※第1四半期の決算も要因の1つだったと思われます。
別の記事で、この内容を解説しているので参照してください。
次に、今回の第2四半期決算による株価の下落です。
株主優待の廃止ほどではありませんが、株価が300円を割り込みどこで下げ止まるか不透明な状況にあります。
これまでに解説してきたように、今回の決算が悪かったことで失望による投資家の売りが増加し、結果的に株価が下落しました。
第2四半期が終わった時点では、経常利益は赤字でした。当初予定の71億円にどれだけ近づくことができるかによって、株価の動きも変わってきそうです。
まとめ
タカラレーベンの決算が発表されました。
前年同期と比較して売上高や利益が減少しており、今期の業績予想を達成できるか微妙な状況です。
それによって、株価は下落して300円を割り込む場面もあります。
また、7月には株主優待の廃止による株価の暴落があり、株価の推移も右肩下がりの状況です。
新築分譲マンションの販売が順調に回復しないと、今期は厳しい業績になりそうな気がします。