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【100%越えは危険?】配当性向について解説

配当性向とは

配当性向とは、企業が稼いだ利益(当期純利益)から配当金をどの程度株主に支払っているかを表す指標です。

配当金を株主に支払う場合には、企業が稼いだ利益を元手にしています。

計算式で表すと以下のようになります。

例えば、配当金が100円で当期純利益が1000円の場合では、配当性向が10%です。

配当性向は、高配当株投資をする際に特に重要な指標になりますので、計算式をしっかりと覚えておきましょう。

配当性向が高いか低いかを調べることで様々な情報が分かりますので、それらを解説していきます。

配当性向が高いことのメリット・デメリット

では、配当性向が高い場合のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリットとしては、①配当金が多い ②株主還元の意識が高いの2点です。

配当性向が高いというのは、企業が稼いだ利益のうち多くの割合を配当金という形で株主に支払っていることを意味します。

つまり、配当性向が高いほど配当金を多く受け取れる可能性があり、企業が配当金で株主に利益を還元しようとする意識が高いのです。

一方でデメリットは、 ①当期純利益が下がった ②減配のリスクが高いの2点になります。

配当性向が高くなるのは、当期純利益が下がったためです。そして、当期純利益が下がるということは配当金の元手が減ったことを意味するため、減配(配当金が減らされる)のリスクが高くなります。

配当性向が低いことのメリット・デメリット

次に、配当性向が低い場合のメリット・デメリットについて見ていきましょう。基本的には、配当性向が高い場合の逆になります。

メリットは、①当期純利益が上がった ②減配のリスクが低いの2点になります。

配当性向が低くなるのは、当期純利益が上がったときです。そして、当期純利益が上がるというのは配当金の元手が増えたことを意味するため、減配のリスクは低くなります(増配の可能性もあります)。

一方でデメリットは、 ①配当金が少ない ②株主還元の意識が低いの2点です。

配当性向が低いから良いかというとそういうわけではありません。配当性向が低すぎるのは、株主に配当金を還元しようとする意識が低いことの表れです。

配当性向の目安

日本企業の配当性向の平均値は、約30%と言われています。

そのため、「配当性向が20%であれば低い」、「配当性向が60%であれば高い」くらいの感覚は持っていると良いでしょう。

ただ、あくまでも目安に過ぎないので参考程度に考えてください。業種や企業の成長段階によっても適切だと考えられる配当性向は異なります。

そもそも配当金とは、純利益から株主に還元したお金です。株主としてはありがたいように思えますが、実は違う側面もあります。

企業側としては純利益から配当金をたくさん出してしまうと、手元に残る資金が減ってしまいます。

そのため、新規事業の拡大や設備投資をしたい場合に十分な資金を確保できない場合があるのです。

一般的には、創業して間もない急成長中の企業は配当性向が低く抑えられ、その代わり純利益を新規事業の拡大や設備投資に回します。

一方で、成長が見込めない企業(成熟した企業)は配当性向が高い傾向があります。すでに事業の成長が鈍化し、純利益を新規事業の拡大や設備投資に回す必要がないので、配当金として株主に還元します。

このように、企業の成長段階(成長中なのか成熟したのか)によっても配当性向の考え方は変わってくるので、注意が必要です。

配当性向100%越えは危険か?

配当性向が100%を超えてしまうこともあります。

なぜこのようなことが起きてしまうかというと、数式を見ればわかります。

例えば、配当金200円で当期純利益が100円の場合について、配当性向がいくらになるか計算してみましょう。

配当性向が200%ということは、企業が稼いだ利益の2倍の配当金を支払っていることになります。

業績不振などの理由で当期純利益が一時的に下がると配当性向が100%を超えることもあるので、一時的な現象なのかどうかを見極める必要があります。

一時的なものであれば問題のない場合もありますが、それが数年も続くと配当金が減らされる(減配)ことが多いです。

例えば、以下のようなケースを見ていきましょう。

A企業もB企業も、2021年の配当性向は200%と配当性向が100%を超えています。

そして2022年の配当性向予想は、A企業が30%と通常に戻ったのに対して、B企業は150%と100%を超える予想です。

こういった場合、A企業は一時的な業績悪化で配当性向が100%を超えただけなので財務的な問題は小さく、2022年の減配リスクは低いです。

ところが、B企業は2年連続で配当性向が100%を超える可能性が高いため、企業が稼いだ利益以外から配当金を支払う必要があります。

そうなると、いつまでも利益以外から配当金を支払い続けることはできないため、2022年の減配リスクが高いと言えます。

配当性向を見る際には、それが一時的なものかそうでないかを必ずチェックしておきましょう。配当性向が100%越えは減配リスクなどのシグナルを発していることが多いです。

まとめ

配当性向について解説しました。

配当性向とは、企業が稼いだ利益(当期純利益)から配当金をどの程度株主に支払っているかを表す指標です。

高ければ高いほど配当金を株主に還元していることになりますが、配当性向が高い原因が当期純利益の減少である場合には注意が必要です。

また企業の成長段階によって配当性向は異なり、成長中の企業は配当性向が低く抑えられ、成熟した企業は配当性向が高くなります。

配当性向の数値だけを見るのではなく、なぜ高いのか低いのかまで考えることができるようになると、その企業の株式に投資してよいかなどの判断材料になるはずです。