VIG(バンガード・米国増配株式ETF)とは
VIGの特徴
VIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF)は、バンガード社が運用する米国増配株式ETFです。
配当金が多くもらえるETFは、一般的に「高配当ETF」と呼ばれますが、VIGは高配当ではなく「配当金の増配」に強みがあります。
日本の個人投資家に人気のある高配当ETFは「SPYD」「HDV」「VYM」の3つです。
つまり、配当金に着目している点では同じであるものの、VIGは配当金を毎年増配可能な銘柄で構成されたETFといえます。
そのため、現時点ではVIGの配当利回りは決して高配当ではありません。
VIGの基本情報は以下のとおりです。
VIGの構成銘柄
それではVIGの構成銘柄を確認していきましょう。
VIGの運用方針は、米国の大型・中型株(リートを除く)のうち10年以上連続で増配実績のある約200銘柄に時価総額加重平均で分散投資になります。
連動する指数は、S&P US Dividend Growers指数(10年以上連続増配実績のある大型・中型株で構成されている株価指数)です。
米国には連続増配が数10年以上の銘柄が多数あり、10年以上連続増配実績のある大型・中型株という厳しい条件でも約200銘柄を組み込むことができます。
日本では連続増配年数が10年以上の銘柄が米国に比べて圧倒的に少なく、米国株の魅力の1つと言えます。
VIGの上位10銘柄を見ていきましょう。
1位は、ジョンソン&ジョンソンです。世界最大のヘルスケア企業で、日用品や医薬品、医療機器など世界規模で展開しています。
2位は、マイクロソフトです。個人や企業向けにソフトウェアの開発・ライセンスを供与しています。代表的なソフトではWindowsやOffice、最近ではSurfaceなどPCも販売しています。
3位は、ユナイテッドヘルスグループです。米国の医療保険会社で、企業や個人に医療保険を提供しています。
4位は、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーです。米国最大の複合金融機関で、米国以外でも事業を展開しています。
5位以降は、日本でも有名なP&G、クレジット決済のVisa、ホームセンターのホームデポがランクインしています。
VIGの大きな特徴としては、GAFAやテスラなどハイパーグロース株が含まれていない点です。
連続増配年数が10年以上という条件があるため、配当金を出していなかったり、連続増配年数が10年に満たないなどの理由でVIGに組み入れされません。
また、GAFAMやテスラに投資していないというのも、VIGの強みといえるかもしれません。
S&P500に連動するETF「VOO」ではGAFAMやテスラの構成比率がとても高く、VOOとVIGではETFの特徴が全く異なることは覚えておきましょう。
VIGの構成セクター
VIGの構成セクターを見ていきましょう。金融やテクノロジー、資本財、一般消費財、ヘルスケア、生活必需品、金融の6セクターでほとんど占めていることがわかります。
リートは指数から除外されているため銘柄に含まれていません。
また、エネルギーセクターもほぼ0%と割合が極めて低いです。
VIGのチャート
VIGのチャートを確認します。以下に示したのは、10年分の月足チャートです。
2020年のコロナショックや2022年の世界的なインフレ時に株価が下落していますが、基本的にはきれいな右肩上がりのチャートです。
リーマンショックから回復し始めた2010年以降は、米国株が絶好調な時期でした。
そういった背景も考慮する必要はありますが、VIGの安定性が光っています。
VIGが優れたETFになっているのは、米国の連続増配企業で構成されたETFというためです。
増配を続けられる≒業績が長期にわたって安定しているということなので、VIGは「業績が長期に渡って安定した企業にまとめて分散投資できるETF」ともいえます。
VIGの配当金
VIGの配当金は、年に4回もらうことができます。過去数年間の配当金は以下のとおりです。
2021年では、配当金:2.66ドル・配当利回り:1.6%程度です。このことからわかるように、VIGは増配ETFであって高配当ETFではありません。
そのため、SPYDやHDVなどの高配当ETFと比較すると利回りが低いです。
増配銘柄が多いので、10年後20年後には高配当ETFに成長している可能性がありますが、投資した時点では高配当ではありません。
投資すべき人:将来の高配当化に期待したい人
以上のことから、VIGに投資すべき人は将来の高配当化に期待したい人です。
先ほども解説したように、VIGは現時点では高配当ではないものの将来的に高配当化する可能性が高いといえます。
今は働いているので給料があるから過ぎには配当金はいらない、数10年後のリタイア時に配当金を多くもらいたいといった場合には最適なETFです。※ただし、数10年後に絶対に高配当化しているかわかりません。
もちろん、ETFのコンセプトが連続増配とわかりやすいことから投資初心者にもおすすめです。
管理人の投資状況
保有数:30株
管理人もVIGを30株保有(約42万円)しています。含み益はどの程度あるでしょうか。
平均取得価額は132.7ドルです。コロナショック時に購入したこともあり、現在の143ドルと比較すると+8%のリターンがあります。
ここ最近の株価の下落により含み益がかなり減ってしまいましたが、配当金も2%弱もらえるので保有し続ける予定です。
なお、円換算でも含み益は以下のとおりです。2022年から急激な円安が進んだこともあり、+40%のリターンとドル換算と比較して大きな差が生じています。
投資方針:保有は継続だが、追加投資は見送り
管理人の投資方針としては、保有を継続して配当金をもらい続けます。約8%の含み益がありますが、売却して利益は確定しません。
増配ETFは増配にこそ投資価値があります。つまり、数10年後の配当金を期待して投資しているわけです。できるだけ長く保有して、増配の恩恵を受けようと思います。
今回は、VIGと投資状況について解説しました。
高配当ETFと比較するとわかりやすいので、以下の記事も読んでみてください。