楽天証券では買付手数料無料の米国ETFが9銘柄ある【第7回目】
楽天証券に限った話ではありませんが、一般的に日本の証券会社で米国ETFを購入する際には買付手数料がかかります。
楽天証券では通常は約定代金の0.495%(上限22米ドル)の手数料が必要になるのですが、楽天証券が指定する米国ETF9銘柄は買付手数料が無料です(2021年5月5日現在)。
投資をする上では手数料などのコストを如何に抑えるかは重要な要素になります。買付手数料が無料ということはその分だけ投資のリターンを高めることができ、利用しない手はありません。
しかもありがたいことに、9銘柄中6銘柄が経費率が安く汎用性のあるETFです。これを組み合わせるだけでポートフォリオを組めるくらい充実したラインナップになっています。
前回は、初心者向けポートフォリオを作成してみました。
今回は、過去10年のデータを用いて作成したポートフォリオのリターンを算出してみようと思います。
ポートフォリオのバックテストを実施~過去のデータでリターンを検証~
それでは、前回考えたポートフォリオのバックテストを実施してみます。バックテストとは、株やETFなどの過去のデータを用いてリターンを検証することです。
将来にどれだけのリターンが得られるかは誰にもわかりませんが、過去のリターンで未来をある程度予想しようというわけです。
今回のバックテストには、「PORTFOLIO VISUALIZER」というサイトを用いました。
このサイトは、「銘柄」「全体割合」「評価期間」を入力するだけでポートフォリオのリターンを簡単に検証することができるのでおすすめです。
さて、検証条件について整理します。
ポートフォリオのコアは、全世界派の「VT」もしくは米国派の「VTI(VOO)」の2パターンです。※VTIとVOOはリターンがほぼ同じため、設定日が古いVTIで検証します。
ポートフォリオのサテライトは、GLDMとRWRでそれぞれ10%と5%を投資上限とします。※GLDMは設定されてから3年程度のため、ほぼ同じリターンのGLDで検証します。
コア | VT or VTI (VOO) | 90-100% |
サテライト① | GLD(GLDM) | 0-10% |
サテライト② | RWR | 0-5% |
バックテスト①~VT(全世界)をコアとしたポートフォリオ~
まずは、全世界に投資するポートフォリオです。
3つのETF「VT」「GLD」「RWR」の割合は以下の表のように設定しました。ポートフォリオ1から3まであります。
ポートフォリオ1 | VT:100% GLD:0% RWR:0% |
ポートフォリオ2 | VT:90% GLD:5% RWR:5% |
ポートフォリオ3 | VT:90% GLD:10% RWR:0% |
また、評価期間は2020年(下落耐性の評価)と2010年-2020年(長期投資の評価)の2つを検証しました。
下落耐性の評価(コロナショック時)
まずは、2020年のコロナショック時の下落耐性の評価です。
最も下落耐性が無かったのは、ポートフォリオ1になります。
最も下落耐性があったのは、ポートフォリオ3でした。
これは、ポートフォリオ3にはGLDが組み込まれているため、VTだけのポートフォリオ1よりも下落耐性があったと考えられます。
しかし、ポートフォリオ1は一時的に下落したものの、最終的にはポートフォリオ3と同程度まで回復しています。最も下落耐性は無かったのですが、回復局面では株式100%の方がその恩恵を受けたというわけです。
長期投資の評価(2010年~2020年)
次に、長期投資の評価(2010年~2020年)をします。2010年を起点にそこから10年間でどれだけのリターンがあったかを検証します。
最もリターンが多かったのは、ポートフォリオ1になります。
最もリターンが少なかったのは、ポートフォリオ3でした。
これは、10年間というある程度長い期間でみると、ポートフォリオ1のように株式100%のポートフォリオの方がリターンが最大化しやすいことを表していると考えられます。
※あくまでも今回のシミュレーションの結果ではそうなっただけで、ポートフォリオに組み込む銘柄や検証期間が変わった時は、必ずしも同様の結果になるわけありませんのでその点はご注意ください。
ポートフォリオ2は、ポートフォリオ1とポートフォリオ3の中間の動きになっています。ポートフォリオ2に組み込まれているRWRは米国リートのETFということもあり、株と同様の動きをする一方で株よりはリターンがやや劣ることからそのような結果になったと考えられます。
まとめ~VT(全世界)をコアとしたポートフォリオ~
バックテストをしてみた結果をまとめてみました。
下落耐性の評価:GLDの割合が高いと下落耐性がある(ポートフォリオ3)
★下落耐性を高めるためには、株式以外にもGLDのように暴落に強い銘柄をポートフォリオに5-10%程度組み込むと良い
長期投資の評価:VT(株式)100%がリターンが最も高かった(ポートフォリオ1)
★長期投資前提であれば、株式100%でリターンの最大化を図るのも1つの手
次回は、VTI(米国)をコアとしたポートフォリオをバックテストで検証します。