投資

楽天証券の買付手数料無料の米国ETFを解説⑧~初心者向けポートフォリオを作成してみた(後編)~

楽天証券では買付手数料無料の米国ETFが9銘柄ある【第8回目】

楽天証券に限った話ではありませんが、一般的に日本の証券会社で米国ETFを購入する際には買付手数料がかかります

楽天証券では通常は約定代金の0.495%(上限22米ドル)の手数料が必要になるのですが、楽天証券が指定する米国ETF9銘柄は買付手数料が無料です(2021年5月5日現在)。

投資をする上では手数料などのコストを如何に抑えるかは重要な要素になります。買付手数料が無料ということはその分だけ投資のリターンを高めることができ、利用しない手はありません。

しかもありがたいことに、9銘柄中6銘柄が経費率が安く汎用性のあるETFです。これを組み合わせるだけでポートフォリオを組めるくらい充実したラインナップになっています。

引用:楽天証券

前回は、VT(全世界)をコアとしたポートフォリオを作成してバックテストを行いました。

楽天証券の買付手数料無料の米国ETFを解説⑦~初心者向けポートフォリオを作成してみた(中編)~ 楽天証券では買付手数料無料の米国ETFが9銘柄ある【第7回目】 楽天証券に限った話ではありませんが、一般的に日本の証券会社で米国...

今回は、VTI(米国)をコアとしたポートフォリオを作成してバックテストを行ってみようと思います。

ポートフォリオのバックテストを実施~過去のデータでリターンを検証~

今回もバックテストには、「PORTFOLIO VISUALIZER」というサイトを用いました。

このサイトは、「銘柄」「全体割合」「評価期間」を入力するだけでポートフォリオのリターンを簡単に検証することができるのでおすすめです。

さて、検証条件について整理します。

ポートフォリオのコアは、「VTI」です。VTIとVOOのリターンはほぼ同じであることから、設定日が古いVTIで検証します。

ポートフォリオのサテライトは、GLDMとRWRでそれぞれ10%と5%を投資上限とします。こちらも前回と同様にGLDMではなく、GLDで検証します。

コアVTI(VOO)90-100%
サテライト①GLD(GLDM)0-10%
サテライト②RWR0-5%

バックテスト①~VTI(米国)をコアとしたポートフォリオ~

3つのETF「VTI」「GLD」「RWR」の割合は以下の表のように設定しました。ポートフォリオ1から3まであります。

ポートフォリオ1VTI:100%  GLD:0%  RWR:0%
ポートフォリオ2VTI:90%  GLD:5%  RWR:5%
ポートフォリオ3VTI:90%  GLD:10% RWR:0%

また、評価期間は2020年(下落耐性の評価)と2010年-2020年(長期投資の評価)の2つを検証しました。

下落耐性の評価(コロナショック時)

まずは、2020年のコロナショック時の下落耐性の評価です。

最も下落耐性が無かったのは、ポートフォリオ1ポートフォリオ2になります。

最も下落耐性があったのは、ポートフォリオ3でした。

これは、ポートフォリオ3にはGLDが組み込まれているため、ポートフォリオ1よりも下落耐性があったと考えられます。

ポートフォリオ2はGLDが組み込まれているにもかかわらずポートフォリオ1と同程度の下落になってしまったのは、RWRが原因だと考えられます。

RWRは米国リートETFですが、株価と同じような値動きをするためにGLDのように下落耐性を改善することは無かったといえます。

しかし、ポートフォリオ1は一時的に下落したものの、リターンが一番高くなっています。GLDを全く含まないポートフォリオでは下落耐性が無いという弱点はありますが、回復局面では速やかに回復していくという特徴があります。

このあたりは、個人のリスク許容度によってGLDのような銘柄をポートフォリオに入れるべきか判断が分かれそうです。当然リスク許容度が低い場合は、GLDを一定割合ポートフォリオに入れましょう。

出典:PORTFOLIO VISUALIZER

長期投資の評価(2010年~2020年)

次に、長期投資の評価(2010年~2020年)をします。2010年を起点にそこから10年間でどれだけのリターンがあったかを検証します。

最もリターンが多かったのは、ポートフォリオ1になります。

最もリターンが少なかったのは、ポートフォリオ3でした。

10年間というある程度長い期間でみると、ポートフォリオ1のように株式100%のポートフォリオの方がリターンが最大化しやすいと考えられます。これは、前回のVTの検証でも同じ結果でした。

※あくまでも今回のシミュレーションの結果ではそうなっただけで、ポートフォリオに組み込む銘柄や検証期間が変わった時は、必ずしも同様の結果になるわけありませんのでその点はご注意ください。

ポートフォリオ2は、ポートフォリオ1ポートフォリオ3の中間の動きになっています。ポートフォリオ2にはGLDが5%しか組み込まれていないため、10%含まれるポートフォリオ3よりもリターンが大きくなったと考えられます。

出典:PORTFOLIO VISUALIZER

まとめ~VTI(米国)をコアとしたポートフォリオ~

バックテストをしてみた結果をまとめてみました。前回の検証結果と同じ結論になってしまいましたが、改めて確認してみましょう。

まとめ(前回と同じ結論)

下落耐性の評価:GLDの割合が高いと下落耐性がある(ポートフォリオ3)

★下落耐性を高めるためには、株式以外にもGLDのように暴落に強い銘柄をポートフォリオに5-10%程度組み込むと良い

長期投資の評価:VTI(株式)100%がリターンが最も高かった(ポートフォリオ1)

★長期投資前提であれば、株式100%でリターンの最大化を図るのも1つの手

楽天証券では買付手数料無料の米国ETFが9銘柄あります。これらのETFを組み合わせるだけでも広く分散投資できます。

そしてETFをどの程度の割合で組み合わせるかは、PORTFOLIO VISUALIZERというサイトで過去のリターンを算出して将来のリターンを予想してみましょう。

組合せは無限にあります。ご自身が目標とするリターンや許容可能なリスクをしっかりと見極め、オリジナルのポートフォリオを作成してみると面白いと思います。