今回紹介するのは「エディオン」です。エディオンは大手家電量販店で西日本を中心に店舗を展開しています。
そして家電量販店の銘柄は高配当かつ株主優待が充実していることでも知られていて、個人投資家必見の銘柄でもあります。
エディオンも例外ではなく、配当金と株主優待利回りが7%弱と大変魅力があり、投資を検討する価値のある銘柄です。
そこで今回はエディオンの銘柄分析をしますので、ぜひ投資の参考にしてください。
エディオンの銘柄分析(2730)
概要
エディオンは、国内大手の家電量販店「エディオン」を運営している企業です。個人投資家に人気の株主優待銘柄になりますので、どんな銘柄かは把握しておきましょう。
そんなエディオンですが、東北や北関東に住んでいる人にとってはあまりなじみのない家電量販店だと思います。それもそのはず、北関東と東北には店舗がありません。
エディオンは西日本を中心に展開しているというのが大きな特徴です。このあたりは、業界最大手で全国に店舗を展開するヤマダHDとは異なります。
しかし、全く共通点が無いかというとそういうわけではありません。エディオンもヤマダHDも「家電以外の事業」に積極的に進出していて、トイレやお風呂など水回りのリフォーム事業など住宅関連の事業を行っています。
このあたりの背景としては、①家電量販店が既に飽和状態になっている ②ネット通販に押されている ③日本の人口減少 などがあり、家電事業だけでは生き残りが難しいためです。
地方都市の空き家問題や人生100年時代に突入したことによる住宅のメンテナンスといった今後増えていくであろう需要を見込み、住宅関連の事業に力を入れています。
株価
まず、株価の1年チャートを見ていきましょう。
2022年1月以降は株価が上昇傾向であることがわかります。2022年は世界的に株式相場が荒れていることもあり、それにつられてエディオンの株価も上下に激しく動いています。
また、直近1年はグロース株からバリュー株にトレンドが転換していて、エディオンのような高配当かつ株主優待がある銘柄に資金が集まっていると考えられます。こういった背景もあり、厳しい相場環境の中でも株価の上昇傾向を維持できているのでしょう。
次に、 株価の10年チャートを見ていきます。
2018年までは右肩上がりで株価が上昇していましたが、それ以降は全体的に横ばいのボックス相場です。おおよそ1000円から1300円の間で株価が推移しています。
2018年以降の株価水準だけで判断すると、現在の株価1213円はやや高い水準であることがわかります。
EPSのところで詳しく解説しますが、EPS(利益)が今後それほど伸びないと予想されることから、株価が相対的に割安なタイミングで投資を検討すべきでしょう。例えば株価1000円台であれば投資を検討したいところです。
また、エディオンの株を長期間保有しようとする場合には、株価が高いタイミングで投資してしまうと含み損を抱えてしまう場面が多くなるはずです。
そうすると長期にわたって保有することが難しくなる恐れ(気持ち的な面で保有を継続しにくい)があるので、投資するタイミングはより慎重になるべきでしょう。
売上高(営業収益)
エディオンの売上高の推移を確認していきましょう。
現在も成長中の企業であれば売上高は毎年増加しているはずです。エディオンの場合はどうなっているでしょうか。
過去10年間の売上高推移を確認してみると、売上高はほぼ横ばいであることがわかります。
直近で売上が最も高かったのは、2021年3月期です。2021年はコロナによる巣ごもり需要で家電製品が売れたり、テレワークの普及によりパソコンやウェブカメラの需要が高まるなど家電量販店には追い風となる1年間でした。
しかし、その翌年にあたる2022年3月期は上記のような特需が収まった影響で売上高を落としています。
そして今期はその反動も弱まり、売上高はやや回復する予想です。
概要でも触れたように、既に家電業界は飽和状態かつネット通販に押されている、人口減少による需要減など厳しい経営環境に置かれています。そのため、売上高をもう一段成長させるのは非常に困難と考えられます。
むしろ家電量販店だけでは売上高が徐々に減ってしまう可能性があり、それを別の事業(ここでは住宅関連事業など)で補うことができるかがカギになるでしょう。
つまり、売上高を維持できるかは家電量販店以外の事業でどれだけ成功することができるかにかかっています。
EPS
エディオンのEPSの推移を確認していきましょう。
EPSは1株純利益のことで、利益がどれだけあるかを示す重要な指標です。
このEPSが増加していれば、1株あたりの利益が増加しているといえます。それに連動して株価も上昇します。
2013年3月期は赤字(EPSがマイナス)に転落していますが、それを除けば毎年黒字(EPSがプラス)を維持できています
そして2017年3月期以降はEPSが100円前後で推移していて非常に安定しています。特にコロナ特需の影響が大きい2021年3月期のEPSは過去10年で最大です。
以上のことからエディオンは、安定した利益を稼ぐことができている企業といえます。逆に言えば、利益がここから2倍3倍に増加することは考えにくいです。
利益(EPS)を毎年安定して稼ぐ力はあるため、株価の上昇はあまり見込めませんが配当金や株主優待による株主還元を期待することはできるでしょう。
配当金や株主優待狙いの長期投資の場合、EPSは最低でも横ばい(できれば増加)である銘柄を選びましょう。
自己資本比率
エディオンの自己資本比率の推移です。
自己資本比率は財務の健全性を表す指標で、自己資本比率が高いほど財務の健全性が高く、倒産しにくい企業といえます。
エディオンの自己資本比率は約50%です。以前は30%台でしたが、徐々に自己資本比率が高くなっていることがわかります。
一般的に自己資本比率が80%以上になると財務健全性が高く、(財務健全性の視点では)優良企業と評価されます。
一方で、自己資本比率が30%以下になると財務健全性が低く、(財務健全性の視点では)問題のある企業と評価されます。
上記の基準に当てはめると、エディオンは財務健全性には問題がない企業です。
長期投資という観点では、自己資本比率が高い企業の方が安心して株を保有することができることは覚えておきましょう。
なお、自己資本比率の高さ(財務健全性の高さ)はどれくらいが適正かは業界によって異なるので、同業他社と比較してみるのも良いでしょう。
エディオンの配当金・株主優待
配当金
エディオンの配当金を確認していきます。
配当金を目当てに投資をする場合は、「配当金がどれくらいもらえるか」「増配(減配)しているか」は非常に重要な情報になります。
エディオンの過去10年間の配当金は増加傾向です。今期の配当金予想は44円と前期と同額の予定になっています。
過去10年間で最も配当金が高かったのが2021年3月期です。この時は売上高とEPS(利益)が高い年であったことも理由の1つですが、記念配当(20期を記念)の5円が含まれていたことによる一時的な影響でした。
現在の株価1213円では配当利回りは3.6%と配当金による還元も充実しています。高配当株としても合格水準です。
株主優待
エディオンの株主優待を確認していきます。ただ単に高配当だけではないところがエディオンの魅力です。
株主優待でもらえるのは、エディオンやエディオンネットショップなどで使える自社ギフトカードになります。
3月の保有株式数に応じたギフトカードをもらうことができます。
購入金額にかかわらず、ギフトカードに設定された金額を限度として利用できるという点では、ほぼ現金と同じように扱えるため使い勝手の良い株主優待と言えそうです。
例えば100株保有の場合、現在の株価で優待利回りを計算すると2.5%です。
配当利回りと合算した総合利回りは6.1%になるので、高配当かつ株主優待の両方が狙える充実した銘柄といえます。
そして長期保有特典として1年以上の継続保有の場合、1000円相当(1000株以上は2000円相当)のギフトカードが追加されます。
これを考慮すると、優待利回り3.3%・総合利回り6.9%と利回りが更に上がります。
しかし、注意しなければならないのがエディオンの店舗が西日本を中心に展開している点です。
仮にギフトカードをもらったとしても、北関東や東北在住の株主は近くに店舗が無いので使うことが困難になります(ネットショップで使うことは可能)。
優待利回りに目が行きがちですが、実際に使うことができる店舗が近くにあるかという視点で投資をしたいものです。
使う場面が無いのに株主優待をもらっても困ってしまいますからね。
まとめ
今回紹介したのは家電量販店の「エディオン」でした。
売上高やEPSの推移からは今後は大きな成長は見込めませんが、一定以上のEPS(利益)を稼ぐことができています。
そのため株価の上昇はそれほど期待できない一方で、配当金や株主優待による還元は安定的に行われる予想です。
株主優待はエディオンで使用可能な自社ギフトカードということで使い勝手が非常によく、エディオンで買い物をする機会がある人には価値がありそうです。
財務面では自己資本比率が約50%と問題のない水準で推移しており、倒産する可能性が低いです。今後もEPSを安定して確保することができるかポイントになります。
投資の際には今回の銘柄分析を参考にしていただけたらありがたいです。