iDeCoで老後の年金問題も解決
2021年4月から開始したiDeCo(個人型確定拠出年金)の運用成績を毎月公開しています。
2024年4月でiDeCoの運用35か月目を迎えましたので「どれくらい資産が増加したのか」「どの投資商品に投資しているか」などを記事にまとめました。
- iDeCoを始めるか迷っている人
- iDeCoの運用成績を知りたい人
- 老後の年金が心配な人
2022年5月からiDeCoの加入年齢が「原則65歳」に拡大されたほか、政府の「貯蓄から投資」の一連の動きもありiDeCoの注目度が高まっています。
iDeCoに興味があるけど始めるか迷っている人や老後の年金が心配な人は本記事を参考にしてください。
それでは最後までよろしくお願いします。
iDeCo(個人型拠出年金)で公的年金の不足分を補おう
まずは、iDeCoのおさらいです。
iDeCoは「年金」と名前がついているように年金の1つです。公的年金とは異なり、各個人が準備する私的年金になります。
少子高齢化が進み、老後の年金問題は国民の関心ごとになっています。特に老後2000万円問題が取り上げられたように老後資金をどのように確保するかは大きな課題です。
公的年金である国民年金や厚生年金だけでは年金を十分に確保するのは難しいことから、公的年金の不足分をiDeCoで補う必要があります。
iDeCoを始めるには証券会社でiDeCoの専用口座を開設しましょう。
つみたてNISAや株式投資を既に行っている場合には、同じ証券会社でiDeCoの専用口座を開設すると管理しやすいのでおすすめです。
管理人の場合は、楽天証券をメインの証券会社として利用していることもあり、iDeCoの専用口座も楽天証券で開設しています。
iDeCoの拠出限度額を確認しよう
iDeCoを始める際に注意しなければならないのが、加入資格によって拠出限度額(iDeCoで運用可能な金額の上限)が異なることです。
iDeCoと似たような制度には「NISA」があります。NISAではどんな人でも一律で年間360万円、生涯投資枠が1800万円が上限になっています。
しかし、iDeCoの場合は一律で上限が決まっていません。
加入者一律で○○万円ではなく、加入者の働き方(自営業者・会社員・専業主婦など)毎に拠出限度額が設定されています。
まずは、下の図でご自身の加入資格を探し、拠出限度額がいくらになるか確認してみましょう。
例えば、自営業者のように年金が手薄になりそうな場合には、月額6.8万円(年額81.6万円)と最も高くなっています。
サラリーマンは加入資格によって月額1.2万円~2.3万円(年額14.4万円~27.6万円)、公務員は月額1.2万円(年額14.4万円)です。
iDeCoで所得税と住民税が安くなる
そしてiDeCoの最大の特徴は、掛金が所得控除(所得税と住民税が安くなる)という点です。つまり、節税効果があります。
iDeCoと比較されるつみたてNISAでは所得控除がありません。
それではiDeCoの節税効果を計算してみました。
節税効果(税額軽減額)は、iDeCO公式サイトのシミュレーションを用いています。
節税効果の詳しい内訳は以下のとおりです。
iDeCoに加入することで「課税所得」が低下し、課税所得をもとに計算される所得税と住民税が少なくなっていることがわかります。
以上をまとめると、年齢35歳・年収600万円・掛金1.2万円の場合、60歳までの税額軽減額は72万円です。年額に換算すると28,800円になります。
これだけ節税効果があることからも、iDeCoがお得なことがわかります。
iDeCoの節税額は楽天証券でもシミュレーションが可能です。下の記事で解説しているので、こちらも参考にしてください。
iDeCoで節税したお金を全額投資すると資産形成の速度がアップします。下の記事で検証しているので、こちらも参考にしてください。
iDeCoで運用中の投資設定
iDeCoで運用すべき投資信託とは?
iDeCoでは、つみたてNISAと同様に投資商品を加入者が決める必要があります。
iDeCoでおすすめの投資商品は、管理費用の安いインデックスファンドです。
管理人は 「楽天・全米株式インデックス・ファンド(通称:楽天VTI)」に投資していましたが、最近「楽天・S&P500インデックス・ファンド(通称:楽天S&P500)」という投資信託に乗り換えました。
どちらもほぼ同じような値動きをする投資信託です。しかし、両者には管理費用に差があります。
今回は楽天証券のiDeCoについて紹介していますが、楽天証券以外の証券会社でもiDeCo向きの投資信託はありますので、心配しなくても大丈夫です。
証券会社によって扱っている投資商品が異なります。iDeCoの口座を開設する証券会社に投資したい商品があるかを確認しておきましょう。
全米もしくは全世界のインデックスファンドに投資するのが王道の投資手法になります。
iDeCoの投資設定
管理人の場合は、iDeCoの拠出上限額は毎月1.2万円です。
そのため、掛金額の上限である1.2万円を楽天S&P500で現在運用しています。
先ほど少し触れたように、これまで投資してきた楽天VTIから楽天S&P500に乗り換える手続き(スイッチング)を1月29日に実施しました。
ところが、新規の投資設定を楽天S&P500に切替えていなかったので2月15日に楽天VTIを購入してしまっています。
つまり、スイッチングと新規投資設定を両方を行う必要があったのです。そこで2回目のスイッチングを実施(2月28日)し、無事に楽天S&P500に乗り換えることができました。
掛金の上限まで投資している理由としては、①資金的に余裕がある ②節税効果を最大にしたいことがあげられます。
しかし、誰でも掛金の上限まで投資すべきかというとそういうわけではありません。
先ほども解説したように、iDeCoでは60歳まで原則引き出すことができないことから、慎重に金額を決定しましょう。
やはりiDeCoで注意しなければならないのは上記のように資金がロックされてしまうことです。
老後の前に必要な資金、例えば「教育費」「住宅の頭金」などの近い将来必ず必要になる資金をiDeCoで投資してしまうと、途中で引き出せないので使いたくても使えないことに注意しましょう。
あくまでも老後資金の形成という視点でiDeCoを活用するようにしてください。
楽天S&P500のリターン
それでは、楽天S&P500のリターンを確認していきます。運用開始から間もないこともありますが、きれいに右肩上がりのチャートになっています。
まだ運用開始してから半年程度しか経過していないため、それ以前のリターンはほぼ同じような動きをする楽天VTIで確認してみます。
ここ10年くらいは米国株が絶好調であったこともあり、こちらも同様に基本的には右肩上がりで成長が続いてきました。
しかし、常に右肩上がりの成長をするわけではなく、コロナショック時(2020年2月から3月)には30%ほど暴落しています。
そして2022年は、一年を通して下落が継続する厳しい株式市場となりました。特に投資初心者は、こういった相場環境では投資を継続するのが難しいでしょう。
世界的な物価高騰(インフレ)やウクライナ情勢の不安定化など株式市場が乱高下する要素は引き続き残っています。
2023年7月には2021年下半期から続いていたボックス相場を完全に脱出し、2024年3月現在も史上最高値付近で推移しています。
しかし、米国の政策金利は非常に高いままで推移しているので、いつリセッションが到来するかも株式市場としては懸念材料です。
最近ではAIバブルとも呼ばれるように急激な株価上昇も見られますが、2024年4月になってから中東情勢の悪化を受けて株価が軟調な兆しも見受けられます。
しかし、こういった数年スパンの短期的な株価に一喜一憂するのではなく、数10年という期間で長期投資を継続することが大切です。
iDeCoでは一度投資の設定してしまえば自動で投資を継続してくれるので、相場に踊らされないこともiDeCoのメリットの1つと言えます。
iDeCoは年金の不足分を補うための資金であるため、数10年後に資産が増えていれば良いのです。
iDeCoを開始して数年はリターンを気にする必要はありません。
今後も株式市場が急落する場面は何度もあると予想されます。
機械的に投資を継続してくれる&60歳まで引き出せないというiDeCoの特徴が最大限に発揮され、老後資金の資産形成に役立つことでしょう。
iDeCo運用成績【運用35か月目】
2024年4月のiDeCo運用成績(運用35か月目)の報告です。
気になる運用成績は以下のとおりでした。
ちなみに前月は以下のような運用成績でした。
35か月目の運用成績は、+176,158円(+40.5%)です。今月は先月よりも含み益がやや減少しました。
2023年3月には米国の地方銀行が破綻するなど金融危機の予兆が見られていましたが、4月になってからそのニュースも落ち着いています。そして5月には米国の債務上限問題が発生しましたが、それ以降は暗いニュースもなく6月から7月にかけて上昇トレンドが継続しています。
そして8月に入ると、それまでの上昇トレンドが一変しています。8月から10月は下落トレンドが継続していましたが、11月になるとその傾向は一変して急反発しました。
そして2024年4月現在も上昇が継続していますが、ここ最近は中東情勢の悪化による株安の動きが目立ってきました。
特に2022年は、世界的なインフレやウクライナ情勢の悪化など株式市場が乱高下する相場が続いていました。2023年4月に銀行破綻の騒動、5月に債務上限問題と目まぐるしく状況が変化しています。6月になると落ち着きを取り戻し、ぐんぐんと株価も上昇しました。8・9月は下落しやすい月として知られていますが、想定の範囲内でした。11月になると急反発して2024年4月現在も上昇傾向は維持しています。
現在は含み益が確保できていますが、仮に十分なリターンが得られていなくともiDeCoには節税効果があるため、節税額だけでも年間数万円はお得になります。
復習になりますが、年齢35歳・年収600万円・掛金1.2万円の場合、年額で28,800円の節税効果があります。
仮に60歳まで運用すれば税額軽減額は72万円です。
実は投資期間が短いうちは、運用益よりも節税効果の方が大きいです。
また、万が一開始して数年間は運用益が全くなかったとしても節税効果は確実にあるので、iDeCoを継続する心の支えになります。節税はつみたてNISAには無い魅力ですね。
なお、iDeCoの税額控除には職場で年末調整(もしくは確定申告)が必要になります。忘れずに手続きをしてください。
さて、これまでの iDeCoの評価額を見ていきます。
黒いラインが投資元本で、それを超えた部分が運用益です。
iDeCoを開始してから35か月が経過し、投資累計額は40万円を超えました。
2024年4月現在、評価額は前月よりもやや減少しました。
運用期間が長くなるほどリターンの波は徐々に落ち着いて含み益になるので、iDeCoを開始してから数年は種まき期間としてあたたかく見守りましょう。
iDeCoに興味があるけど始めるか迷っている人や老後の年金が心配な人の参考になったらうれしいです。
つみたてNISAは、iDeCoと同時並行で始めることがおすすめです。iDeCoとは異なった特徴がつみたてNISAにはありますのでこちらも投資の検討をしてみましょう。
つみたてNISAの運用成績も完全公開しているので参考にしてください。