EPSとは
EPSとは、1株あたりの純利益を表す指標です。英語では「Earnings Per Share」と呼ばれます。
「1株あたりの当期純利益」と表現されることもありますが、最新の純利益で計算している場合に用いられることが多いです。
EPSは株式投資をする上で最も重要な指標になるので絶対に理解しておきましょう。EPSを見るだけで投資しても良いかどうかがなんとなく分かってしまうくらい重要です。
計算式で表すと以下のようになります。
例えば、当期純利益が1000円で発行済株式数が100株の場合では、EPSは10円です。なお、発行済株式数は企業が発行した株式の総数になります。
EPSが10円ということは、1株あたりの純利益が10円ということです。当然、この数値が高ければ高いほど利益があることを意味するのでEPSが高いか低いかは、投資をする際の重要な指標になります。
EPSと配当性向の関係
EPSと配当性向には関係があります。そのことについて見ていきましょう。
配当性向とは、企業が稼いだ利益(当期純利益)から配当金をどの程度株主に支払っているかを表す指標でした。以前に解説した記事も参考にしてください。
配当性向は、以下のような式で表現されます。その式で出てくる「1株あたりの当期純利益」がEPSだったのです。
つまり、EPSが増加すれば配当性向は低下することが式から分かります。
純利益が増加しても(EPSが増加しても)配当金が据え置かれると、配当金が純利益に占める割合が低下するため配当性向は低くなるのです。
一方で、EPSが低下すると配当性向は増加します。このように、EPSと配当性向には深い関係があるので覚えておきましょう。
では、具体的にEPSが2倍になったときに配当性向がどうなるのか計算してみましょう。
配当金は100円のままで、EPSが500円から1000円になった場合を考えてみます。これらを数式に入れて計算すると、配当性向は10%になります。
つまり、EPSが2倍になると配当性向は元の20%から10%に変化するため、1/2倍になることが確認できました。
EPSが高いことの意味
EPSが高いことの意味について考えていきます。
EPSが高いというのは、①利益が多い ②配当金が増加しやすい ③減配のリスクが低い ④株価が上昇しやすいといえます。
EPS自体が利益の指標であるため、EPSが高くなれば利益は当然多くなりますし、利益を元にした配当金は増加しやすい(減配しにくい)です。
そして利益や配当金が増加している企業の株は多くの投資家が投資したいと考えるので、株価は上昇しやすくなります。
つまり、EPSが高い(増加する)銘柄は投資対象として魅力があるのです。
EPSが低いことの意味
反対に、EPSが低いことの意味について考えていきます。基本的には、高い時と逆です。
EPSが低いというのは、①利益が少ない ②配当金が増加しにくい ③減配のリスクが高い ④株価が下落しやすいといえます。
EPS自体が利益の指標であるため、EPSが低くなれば利益は当然少なくなり、その利益を元にした配当金は増加しにくい(減配しやすい)です。
そして利益や配当金が減少している企業の株は投資家が投資したいと考えません。どちらかというと手放したいはずです。そうすると売り手が多くなり、株価は下落しやすくなります。
つまり、EPSが低い(減少する)銘柄は投資対象として魅力がありません。
EPSが増加傾向であれば投資してOK
これまでEPSが高ければ投資対象として魅力があり、それとは反対にEPSが低ければ投資対象として魅力がないと解説してきました。
もう少し具体的に表現すると、EPSが毎年のように増加し続けているような銘柄に投資していきましょうということです。
今回は、EPSが増加傾向の企業として「KDDI」を紹介します。KDDIはケータイ3大キャリアの1つで、安定的な収益を誇る優良企業です。
2010年のデータから現在までの10数年分のEPSに着目すると、全体的な傾向として毎年のようにEPSが増加していることがわかります。
つまり、1株あたりの純利益が増加しているのです。そして純利益が増加しているということは、配当金の元手が増えていることを意味し、株価にも良い影響を与えます。
もちろん、EPSだけが増加傾向であれば良いというわけではありませんが、まずはEPSが増えているかに着目するようにしましょう。
長期間に渡って投資家に利益を還元するには、EPSが増加傾向である必要があります。EPSを活用して銘柄選定することができるようになると、大きな失敗は減るはずです。
まとめ
EPSについて解説しました。EPSとは、1株あたりの純利益を表す指標です。
企業が稼いだ利益(当期純利益)から配当金をどの程度株主に支払っているかを表す指標である配当性向と関係性があり、EPSが高くなると配当性向は低下します。
そしてEPSが高いほど、増加傾向であるほど投資対象として魅力があります。
KDDIのようにEPSが増加傾向にある銘柄は、毎年のように利益を増やしているため長期投資にも向いています。
これまでに解説してきた「配当性向」「配当利回り」もセットで学習していただくと、よりEPSのことが深く理解できるでしょう。