今回紹介するのは「直近の決算が好感されて株価が急騰した高配当&株主優待銘柄」です。
この銘柄は、高配当でありながら株主優待もあるという点で非常に注目が高いです。
また、配当金も増額することが発表されており、業績が良かったことと配当金の増額で株価が数日で20%以上も上昇しています。
そして何よりも現在最も勢いがあるセクターの1つ、商社というのも魅力です。
企業の概要や事業内容、業績、配当金などを徹底解説しています。
それでは、最後までお付き合いください。
なお、本記事の内容は動画も作成しました。気になる方は、以下の動画も参考してください。
※動画作成日と記事作成日が異なるため、内容が少し異なります。
稲畑産業(8098)
概要
今回解説する銘柄は、稲畑産業です。
稲畑産業の歴史は古く、創業は130年を超える老舗企業になります。
あまりなじみのない会社名だと思いますが、皆さんはどんな事業を展開している企業かご存じでしょうか。
稲畑産業は、住友化学系列の化学品専門商社です。
同じような化学品専門商社は、「長瀬産業」と「明和産業」があります。
商社で一般的に思い浮かべるのは三菱商事などの5大総合商社だと思いますが、稲畑産業のように特定の分野に特化した専門商社も一定数存在します。
事業内容(セグメント)
それでは、稲畑産業の事業内容(セグメント)を見ていきましょう。
稲畑産業のセグメントは、売上高の多い順で「合成樹脂」「情報電子」「化学品」「生活産業」になります。
特に「合成樹脂」と「情報電子」は売上高の約80%を占めており、主要なセグメントです。
では、それぞれのセグメントでどのようなものを取り扱っているのか、稲畑産業のHPから探してみました。
身近な商品の例としては、樹脂やプラスチックの原料や添加剤が挙げられています。
化学品専門商社ということで事業内容をイメージしにくい点はありますが、家庭における身近な商品にも稲畑産業が取り扱っているものが多数ありそうです。
株価
まず、株価の2年チャートを見ていきます。
2020年3月のコロナショック時は、株価が1000円を割り込むまで下落しました。
その後は回復して1700円台で推移していたのですが、直近の決算発表で暴騰しています。
株価が急激に上がった要因としては、業績の上方修正&増配の発表があったためです。
次に、 株価の10年チャートを見ていきます。
過去10年間の株価推移は、右肩上がりのチャートになっていることが分かります。
2018年以降はやや株価が低迷していましたが、コロナショック後の回復を起爆剤にして株価が一気に上昇しています。
今回の株価の急上昇が一時的な要因なのかによっても、現在の株価水準を維持できるかどうか変わってきそうです。
売上高
それでは、稲畑産業の売上高推移を確認していきましょう。
成長している企業であれば、売上高は毎年のように増加しているはずですが、どうでしょうか。
売上高の推移は、多少の増減はあるものの増加傾向にあることが分かります。
同じ化学品専門商社の「明和産業」の売上高の推移を確認してみます。
明和産業の売上高は、横ばいもしくはやや減少傾向にあります。
この比較でも稲畑産業が同業他社よりも勢いのあることが分かるはずです。
EPS
次に、稲畑産業のEPSの推移を確認していきましょう。
EPSは1株純利益のことで、利益がどれだけあるかを示す最も重要な指標です。
このEPSが増加していれば、利益が増加しているといえます。
結果はというと、多少の増減はありますが増加傾向になっています。
また、今期(2022年3月)のEPSは前期の約1.5倍と大幅に増加する予想です。
EPSの増加により、株価も右肩上がりのチャートになっていると考えられます。
自己資本比率
次に、稲畑産業の自己資本比率の推移です。
自己資本比率が高いほど、財務の健全性が高く倒産しにくい企業といえます。
自己資本比率は毎年のように増加していて、前期では49%まで上昇しています。
このように順調に自己資本比率が増加しているのは、EPSが増加傾向で直近10年間は赤字の年が無いためと考えられます。財務健全性が毎年改善されているわけです。
配当金
稲畑産業の配当金を確認していきます。
過去10年間の配当金は増加傾向であることが分かります。
このことはEPSが増加傾向であったことから想像できたのではないでしょうか。
そして、今期の配当金は前期から2倍近い金額の110円になりそうです。
しかも、株価が急上昇した後の株価で配当利回りを計算しても約4.9%と高配当銘柄になりました。
株主還元の方針
そこで気になるのが、株主還元の方針です。従来は総還元性向が30-35%を目安にしていたところ、それを変更する旨を発表しています。
新しい株主還元の方針は以下のとおりです。
- 前年度実績を下限(減配せず継続的に増加)
- 総還元性向は約50%を目安
従来の株主還元の方針と比べると、かなり強気の方針に変更になっていることが分かります。
特に「減配をしない」というのは配当金目的の投資をしていると心強いところです。
もちろん、あくまでも方針であるため業績の低迷が続けば減配もあると思いますが、EPSは増加傾向であることから急な減配リスクは少ないと判断できるのではないでしょうか。
また、総還元性向は約50%を目安にしているのはどういった意味なのかを考えてみました。
今期の予想EPSは357円と、コロナ後の資源高・需要拡大を背景に前期比で1.5倍に増加しています。
しかし、来期(2023年)もそれが継続するかどうかは不透明なため、仮に2023年のEPSが2021年と同じであったとします。
また、配当金は減配しないことを宣言しているため、最低でも110円は配当金として還元されます。
※厳密にいうと自社株買い等を含めた総還元性向を約50%としていますが、話を簡略化するために、「総還元性向」≒「配当性向」とみなします。
以下の表にまとめてみました。
EPS | 配当金 | 配当性向 | |
2021年 | 229円 | 63円 | 28% |
2022年 | 357円 | 110円 | 31% |
2023年 | 229円? | 110円? | 48%? |
ここまで計算してみると、「2021年と同じEPS」かつ「2022年と同じ配当金」の場合に配当性向は48%になります。
48%の配当性向(≒総還元性向)は株主還元方針で掲げている50%とほぼ一致します。
これらのことから、2022年のEPSを維持できずに2021年の水準になったとしても、配当金110円というのはなんとか出し続けることができる予想です。
株主優待
稲畑産業は、株主優待もあります。株主優待でもらえるのは、オリジナルのクオカードです。
保有株式数と継続保有期間に応じてもらえるクオカードが異なります。
特に継続保有期間が3年以上になると、もらえるクオカードの金額が増えるため長期保有がお得です。
現在の株価が2263円のため、100株投資するには20万円以上の資金が必要になります。
もし仮に300株保有しようとすると70万円近く資金が必要になるため、よほどの理由が無ければ100株だけ投資することが良いのではないでしょうか。
仮に100株・3年以上継続保有すればクオカード2000円分になり、利回りを計算すると1%近くになります。
配当利回りと合算した総合利回りは約6%になるので、高配当かつ株主優待もあり面白そうな銘柄です。
まとめ
今回は「直近の決算が好感されて株価が急騰した高配当&株主優待銘柄」について解説しました。
高配当でありながら株主優待もあるという点で非常に魅力的で投資対象として注目したい銘柄です。
しかも、現在最も勢いがあるセクターの1つ、商社というのも投資を検討する余地があります。
来期もEPSを今期のように維持できるのかで株価がどのような動きをするか変わってきそうです。
直近では株価が急騰しすぎている感じもするので、もう少し下落してきたら拾ってみるのもありではないでしょうか。
ぜひ投資の参考にしてください。
稲畑産業以外では、ヤマダHDもおすすめの高配当&株主優待銘柄です。こちらの記事も参考にしてください。