オリックスは、株主優待「ふるさと優待」(カタログギフト)がとても人気です。
オリックスの個人投資家には株主優待目当てで投資している人も多く、管理人もその一人であります。
しかし、2022年5月11日に「株主優待廃止」の衝撃的なニュースが入ってきました。
それと同時に自社株買いも発表しており、株価に与える影響も様々です。
そこで今回は、オリックスの「株主優待廃止」「決算」「自社株買い」について分かりやすく解説していきます。
さらに事業内容や配当金の実績もまとめましたので投資の参考にしてください。
オリックスが株主優待を廃止&自社株買い
オリックスの株主優待廃止とその理由
オリックスの株主優待は「株主カード」と「ふるさと優待(カタログギフト)」の2つがあります。
今回の株主優待の廃止では、2つとも廃止されることで決定しました。
株主優待の廃止理由は、以下のとおり発表されています。
廃止の大きな理由は、「公平な利益還元のあり方」と「配当等による利益還元に集約」の2つです。
実は以前から株主優待による株主還元は問題視されていて、株主優待制度自体が公平な利益還元になっていないという指摘がなされています。
株主優待は、100株保有している場合でも1000株保有している場合でも、もらえる株主優待は同じであることが多いです。
現にオリックスの株主優待制度は、100株の株主と1000株の株主では同じ価値の株主優待しかもらえません。
しかし、1000株の株主は100株の株主に比べて10倍の資金を投資しているにもかかわらず、もらえる株主優待は同じ価値のものというのが「公平な利益還元になっていない」と指摘されています。
また、株主優待の制度自体が日本独自の文化ということもあり、海外投資家からは株主優待よりも配当金や自社株買いでの利益還元を求められている時代背景も影響しています。
以上のような背景もあり、オリックスは株主優待制度の廃止に至ったと考えられます。
今後は配当金や自社株買いによる株主還元を実施していくことになります。
株主優待の廃止時期
そして気になるのが株主優待の廃止時期です。
廃止時期は以下のように案内が来ています。
株主カードとふるさと優待はどちらも、2024年3月31日の株主を最後とするようです。
つまり、すぐには廃止されずに約2年の猶予があります。
通常は株主優待の廃止を発表するとすぐに優待が無くなってしまう場合が多いのですが、廃止発表から約2年間も維持してくれるのは株主に最大限配慮した結果だと思います。
オリックスの株主優待を堪能することができるのは、これから届く2022年と2023年、2024年の3回です。
あと3回ということで、残りの株主優待を十分に楽しもうと思います。
オリックスの自社株買い
株主優待制度の廃止と同時に「約3.3%の自社株買い」を発表しています。
通常は自社株買いのニュースがで株価上昇することが多いのですが、株主優待制度の廃止も同時に発表していたこともあり、株価はそれほど反応しませんでした。
自社株買いは「流通する株式総数が減少」するため、「1株の価値の上昇=株価の上昇」につながります。
オリックスが発表した自社株買いの詳細は以下のとおりです。
自社株買いの理由としては「株主還元」、つまり株主が保有する株の価値を高めて株価を上げるということです。
取得する株の上限は、「4000万株」もしくは「500億円分の株」のどちらかになります。
4000万株がどれくらいの割合かというと、発行済み株式総数の約3.3%です。
先日自社株買いを発表したヤマダHDが発行済み株式総数の23.9%であったことと比較すると見劣りしてしまいますが、通常の自社株買いは数%です。
なお、ヤマダHDの自社株買いについては以下の記事で解説しているので参考にしてください。
オリックスとは?
事業内容
オリックスは国内最大手の総合リース会社です。業種は「その他金融」に分類されます。
事業は10のセグメントに分かれています。
有名なところでは、航空機などの輸送機器、保険、法人向けリースなどでしょうか。
それぞれの事業内容を簡単にまとめましたので参考にしてください。
- 法人営業・メンテナンスリース:自動車やIT関連機器のリース・
- 不動産:不動産開発・賃貸・管理・資産運用
- 事業投資・コンセッション:国内外の事業投資・関西3空港の運営
- 環境エネルギー:再生可能エネルギー・電力小売・ソーラーパネル・廃棄物処理
- 保険:医療保険や生命保険
- 銀行・クレジット:投資用不動産ローン・カードローン・信用保証
- 輸送機器:航空機のリースや管理・船舶関連投融資食糧や生活消費財の製品製造
- ORIX USA:米国における金融・投資・アセットマネジメント
- ORIX Europe:株式・債券のアセットマネジメント
- アジア・豪州:アジアと豪州における金融・投資
配当金
オリックスの配当金は中間(第2四半期末)と期末の年に2回あります。
中間配当が9月末、期末配当が3月末になっているので配当金を狙う場合にはそれ以前に株を保有しておきましょう。
2022年3月期期末の配当金は、46.60円(100株で4660円)になることが発表されました。
2021年3月期の配当金と比較すると、78円から85.60円と配当金は増配しています。
それでは、過去10年間の配当金の推移を確認していきましょう。
過去の推移を見てみると、配当金は増配傾向にあります。
2020年3月期こそ前期同額の配当金になりましたが、新型コロナの影響を受けているここ数年間でも減配していないのは、配当金狙いの投資家としては心強いです。
オリックスの株主還元方針は以下のとおりです。
当社は、事業活動で得られた利益を事業基盤の強化や成長のための投資に活用することにより、株主価値の増大に努めています。同時に、業績を反映した安定的かつ継続的な配当を実施致します。また、自己株式取得につきましては、経営環境、株価の動向、財務状況および目標とする経営指標等を勘案のうえ、弾力的・機動的に実施します。
これらの基本方針のもと、当期の1株当たりの年間配当金につきましては、85.60円(中間配当金は支払済みの39.00円、期末配当金は46.60円)と致します。配当性向は、33.0%となります。次期(2023年3月期)につきましては、1株当たりの中間配当金の予想額は42.80円とし、1株当たりの年間配当金の予想額は、配当性向33.0%もしくは当期と同額の85.60円のいずれか高い方と致します。
出典:オリックス(https://www.orix.co.jp/grp/)
配当性向33.0%もしくは当期と同額の85.60円のいずれか高い方ということは、最低でも85.60円以上の配当金を予定しています。
先ほどの配当金と同じ表ですが、今度は配当性向に着目してみましょう。
2022年3月期の配当性向は、33.0%でした。この値が今後数年間の配当金推移を予想する際に目安となります。
もちろん業績の悪化があれば配当金の減配も実施されると思いますが、今回の株主還元方針からは配当金を減配しないという強い意志を感じます。
株主優待
オリックスといえば、株主優待がとても魅力的な銘柄です。
オリックスの株主優待は、カタログギフトと株主カードの2つがあります。
個人的には株主カードの使う機会はほとんどなく、多くの個人投資家はカタログギフトを目当てに投資していると思います。
オリックスの株主優待については別の記事でまとめていますので、そちらを参考にしてください。
しかし、冒頭でも解説したように株主優待は2024年3月31日の株主を最後に廃止されますのでご注意ください。
オリックスの決算(2022年3月期)
オリックスの決算概要は以下のとおりです。
- 営業収益:増加(+9.9%)
- 営業利益:増加(+16.7%)
- 税引前利益:増加(+75.6%)
- 当期純利益:増加(+62.2%)
いずれも前年同期比で増加で良い決算になりました。
そして過去10年間の営業収益(売上高)と利益は以下のとおりです。
なお、経常利益が大幅に増加しているのは、会計ソフト「弥生」の事業を売却したことによるものです。
セグメント別の利益とハイライトは以下の表を参考にしてください。
それでは、営業収益(売上高)から順番に決算を解説していきます。
営業収益:2兆5203億65百万円(前年同期比+9.9%)
営業収益は、2兆5203億65百万円(前年同期比+9.9%)と増収になりました。
その理由は、「サービス収入やオペレーティング・リース収益、商品および不動産売上高、有価証券売却・評価損益および受取配当金の増加」と公表されています。
営業収益(売上高)は、その企業が商品やサービスを販売してどれだけお金を稼いだかを表す指標です。
これが減るというのは、企業の稼ぐ力が弱くなったと言えます。
稼がないことには利益を生み出すことができないため、売上収益が増えているかは重要なことです。
過去10年間の営業収益(売上高)は以下のとおりです。
2022年3月期の営業収益は、2021年と比較すると増収です。
しかし、直近10年間では2018年に売上収益のピークを迎えて以来、営業収益は2兆4000億円前後で推移しています。
今後は2018年の営業収益に再度迫ることができるか、営業収益が3兆円を超えられるか気になります。
営業利益:3020億83百万円( 前年同期比+16.7% )
営業利益は、3020億83百万円( 前年同期比+16.7% )と増益になりました。
その理由は、以下の表(再掲)のとおりです。
オリックスは事業が幅広いので特定の事業が利益に貢献したというよりも、多くの事業で利益を確保できています。
通期で赤字だったのは「事業投資・コンセッション」と「輸送機器」の2つだけでした。
営業利益は、本業でどれくらい儲けているかを表す指標です。
これが黒字になっていれば本業で利益が出ている状態で、赤字だと本業で利益が出ていないことになります。
本業は、その企業の売上や利益の中心となる事業のことです。
ここで稼いだり利益が出ていなければ、長期的にはその企業の業績は悪化していきます。
過去10年間の営業利益は以下のとおりです。
2022年3月期の営業利益は、2020年・2021年よりは増加しているものの、2017年-2019年の水準までは戻っていません。
税引前利益:5048億76百万円(前年同期比+75.6%)
税引前利益:5048億76百万円(前年同期比+75.6%)と増益になりました。
その理由は、営業利益の増加及び弥生の事業の売却です。弥生の売却で約1700億円利益を確保しています。
税引前利益とは、法人税等の税金を支払う前の利益のことです。
臨時的な要因による損益を反映させた利益のことで、企業としてどれくらいの利益を確保したか分かる指標になります。
当期純利益:3121億35百万円(前年同期比+62.2%)
当期純利益は、3121億35百万円(前年同期比+62.2%)と増益になりました。
その理由は、税引前利益の増加と同じです。
当期純利益とは、法人税等の税金を支払った後の最終的な利益のことです。
この金額が成長しているかどうかが最も重要になってきます。
株主に支払われる配当金は、当期利益から捻出されるため、配当金が減配・増配されるかはこの数値を見ることである程度の予想は可能です。
過去10年間の当期純利益は以下のとおりです。
新型コロナの影響を大きく受けた2021年3月期と比較すると、大幅に回復しています。
2022年3月期の当期純利益は、2018年-2020年と同等の水準です。
今期はそれらの利益水準を超えることができるか注目しています。
オリックスの投資状況
評価損益
それでは、オリックスの評価損益を紹介します。
オリックスは100株だけ保有しています。
株主優待が100株でも200株でも変わらないので、100株が一番お得になります。
投資したのは2020年12月ということもあり、平均取得価額は現在の株価よりもかなり低い1573.15円です。
現在の株価は2300円であるため、+72,685円(+46.20%)の含み益になっています。
配当金と株主優待の目的で投資したこともあり、売却せずに長期保有前提で投資を継続します。
株主優待が廃止されてしまうとはいえ、その分は配当金等で株主還元されることから配当金がさらに増配されることを期待しています。
配当金
次に、オリックスからもらった配当金を紹介します。
これまでに配当金は2回いただいています。直近2回の配当金の合計8200円です。
そして2022年6月末には4660円の配当金をもらえる予定です。さらに、株主優待のカタログギフト)もあります。
最近でこそ株価が上昇して配当利回りが4%弱まで低下していますが、それでも高配当かつ株主優待の両方を狙える優良な銘柄であることには変わりないです。
まとめ
オリックスの株主優待廃止や自社株買い、決算について解説しました。
オリックスの株主優待は個人投資家にとても人気がありましたが、公平な株主還元の観点から2024年3月を最後に廃止されます。
その一方で、自社株買いによる株主還元を実施します。
決算は、会計ソフト弥生の事業を売却したことによる一時的な利益があるものの、多くの事業において利益を確保できていました。
ぜひ投資の参考にしてください。