今回紹介するのは「イオンモール」というイオンを中心としたショッピングモールを開発・運営する企業です。
イオンモールは、配当利回りと株主優待の利回りを合計した総合利回りが約5%と高配当銘柄として知られています。
あのイオングループの中核を担うグループ企業であり、時価総額が3000億円を超えるなど会社の規模もかなり大きいです。
現在イオンモールへの投資を検討しているので、投資の際に参考になるよう銘柄分析をしてみました。
それではイオンモールの銘柄解説をしていきます。
イオンモール(8905)
事業
イオンモールは会社設立が1911年と歴史が古い企業です。
現在のような大規模ショッピングセンターの開発・運営は1989年から開始し、日本全国にイオンモールという名称の施設を展開しています。
さらに日本のみならず、中国や東南アジアに進出して海外での売上も取り込もうとしている最中です。
イオンモールの事業内容は大まかに以下のようになっています。
- ショッピングモールの開発
- モール内にテナントを誘致して付加価値を高める
- モールの運営管理
- 既存モールの再開発
これらの一連の流れがイオンモールの事業です。
ではどうやって収益を得ているのかというと、大きく分けて①固定的収益 ②歩合収益の2つがあります。
①固定的収益は、イオンモール内のテナントとして出店した際に賃料として決まった金額を支払うものです。
②歩合収益は、テナントの売上に応じて追加で支払う金額のことです。例えば、売上が多くなればなるほど追加で支払う金額が多くなります。
このように、固定的収益で最低限の収益を確保しつつ、モール自体を魅力的なものにすればテナントの売上がさらに増加して歩合収益による収益を得られるというわけです。
株価
まず、株価の6か月チャートを見ていきます。
2022年に入ってからは世界同時株安が発生し、米国を中心に株価が下落トレンド入りしています。
そういった外部環境でありながらも、イオンモールの株価は1500円~1700円の範囲内で推移し、底堅い動きをしているといえます。
後述するように、イオンモールの配当利回りが高いことや株主優待がお得といった銘柄の特徴もあり、厳しい相場環境でも大崩れしていないと考えられます。。
次に、 株価の2年チャートを見ていきます。
2020年のコロナショックから株価はやや持ち直しました。
2021年には一時2000円を超える水準まで戻りましたが、その後はやや下落して横ばいで推移しています。
一般的に、株価はEPS(1株純利益)に連動する傾向があるため、EPSがどうなっているかは同時に確認しておきたいところです。
売上高
それでは、イオンモールの売上高推移を確認していきましょう。
現在も成長中の企業であれば売上高は毎年増加しているはずですが、イオンモールの場合はどうでしょうか。
2020年2月期までは毎年のように売上高が増えていました。
ところが、コロナの影響を受け始めた2021年2月期は売上高が減少し、その翌年度もコロナ前まで回復することができませんでした。
そして現時点での予想にはなりますが、2023年3月期はコロナ前の売上高を上回ると予想されています。
なお、売上高の構成比率は以下のとおりです。
国によってコロナによる時短営業やロックダウンなど影響が異なるため細かい比較はできませんが、どの国も経済活動は正常化しつつあります。
日本での売上高は約80%になっており、今後は中国・アセアンの約20%をどこまで高めることができるかがポイントです。
EPS
次に、イオンモールのEPSの推移を確認していきましょう。
EPSは1株純利益のことで、利益がどれだけあるかを示す最も重要な指標です。
このEPSが増加していれば、利益が増加しているといえます。それに連動して株価も上昇します。
イオンモールのEPSは、コロナ前の2020年までは横ばいもしくは増加傾向ではありましたが、コロナの影響がある2021年以降はEPSを大きく減らしています。
特に2021年2月期は赤字に転落しています。
この原因は、コロナによる売上高の減少や特別損失を計上したためです。
2023年3月期にはEPSが100円の水準まで回復する予定ですが、コロナ前のEPSまでは戻り切りません。
さきほどの売上高で解説したように、2023年3月期の売上高はコロナ前を超えているにも関わらず、EPSがコロナ前を超えていないのは少し不満が残ります。
売上高はコロナ前を超えていても、EPSも同じようにコロナ前を超えていないと良い業績とは言えません。
今後は、EPSを更に伸ばしていけるか注目です。
自己資本比率
次に、イオンモールの自己資本比率の推移です。
自己資本比率は財務の健全性を表す指標で、自己資本比率が高いほど財務の健全性が高く、倒産しにくい企業といえます。
自己資本比率は30%前後推移しています。
一般的に自己資本比率が80%以上になると財務健全性が高く、(財務健全性の視点では)優良企業と評価されます。
一方で、自己資本比率が30%以下になると財務健全性が低く、(財務健全性の視点では)問題のある企業と評価されます。
ただ、自己資本比率は業種によって大きく異なるので同業他社や過去の自己資本比率と比較することも大切です。
上記のことを頭に入れてイオンモールの自己資本比率をもう一度見てみると、2014年以降は減少しているものの、現在(2022年2月期)の自己資本比率は低すぎるわけではありません。
自己資本比率が極端に減少することが数年続かない限り、それほど問題ないといえます。
配当金
イオンモールの配当金を確認していきます。
過去10年間の配当金は概ね増加傾向であることが分かります。
ここ数年はコロナの影響で利益が低迷していることもあり、配当金の増配は足踏みしています。
配当金はEPSから捻出するため、EPSが毎年増加傾向でないと配当金の増配を継続するのは難しいです。
2021年2月のEPSはマイナス(赤字)ではありましたが、配当金を気合で捻出しているのも評価できます。
今期の配当金は、前期と同額の50円の予想です。
現在の株価で配当利回りを計算すると約3%と高配当銘柄といえます。
株主優待
イオンモールは、高配当株としても有名ですが株主優待もあります。
株主優待は保有株数に応じて異なり、以下の表のとおりです。
仮に100株保有していた場合には、「3000円のイオンギフトカード」もしくは「3000円相当のカタログギフト」がもらえます。
イオンギフトカードはイオン系列の多くの店舗で使用できるため、ほぼ現金と同じように活用できるのが強みです。
また、どうしても近くに店舗が無いという場合でもカタログギフトを選択できるので、非常に使い勝手のよい株主優待です。
現在の株価で優待利回りを計算すると、優待利回りは1.8%になります。
配当金と株主優待の利回りを合計した総合利回りは4.8%と投資対象として魅力的な水準です。
まとめ
今回は「イオンモール」というイオンを中心としたショッピングモールを開発・運営する企業を解説しました。
イオンモールは、配当利回りと株主優待の利回りを合計した総合利回りが約5%と高配当銘柄であり、投資妙味のある銘柄です。
管理人としては、株価が1600円を割り込んだら投資したいと考えています。
ここ数か月は世界的に株式相場が荒れているので、企業の業績とは無関係に株価が急落するタイミングがあったら積極的に狙いたいです。