配当利回りの高い銘柄はリスクも高い
今回の記事は、こんな投資初心者におすすめです。
- 配当金を目的に投資している人
- 配当利回りランキングをよく調べる人
- 配当利回りの高い銘柄に投資して失敗した人
配当金を目的とした投資を実践すると、配当利回りが高い銘柄に投資したくなります。
100万円を投資する場合、配当利回りが1%の銘柄と5%の銘柄では年間の配当金に4万円の差があります。
同じ金額を投資するのであれば、配当利回りが高い銘柄のほうが魅力的で投資したくなるはずです。
投資初心者ほど、配当利回りの高い銘柄に投資する傾向があります。同じ金額を投資するのであれば、配当利回りの高い銘柄のほうが魅力に感じるのは普通のことです。
ところが、配当利回りランキングの上位銘柄に投資するのは非常にリスクが高く、思わぬ結果(損失)を招きかねません。
配当利回りが高いという時点で、リスクが高く危険な銘柄なのです。
記事を全て読み終わったころには、「配当利回りの高い銘柄に投資するのはリスクが高い」ことをしっかりと理解しているはずです。
汗水流して働いたお給料を無駄にしないために、少しでもお役に立てるように解説していきます。
配当利回りランキング1位の銘柄は投資するのは危険なのか
配当利回りが高い銘柄に投資するのは、リスクが高く危険な理由を解説していきます。
まずは、YAHOOファイナンスから配当利回りランキングを確認してみました。
調査時点では、「明和産業」が配当利回り13.88%でランキング1位になっています。
この明和産業を例にして話を進めます。
一般的に、配当利回りが4%を超えると配当利回りが高いと言われるため、13.88%がいかに高い配当利回りであるかわかると思います。
仮に明和産業に100万円投資したとすると、年間の配当金は約14万円です。
1000万円投資すれば配当金は約140万円になり、独身ミニマリストならこれだけでFIREできそうな気がします。
配当利回りが高い理由をしっかりと分析し、それでも投資すべきと判断するのであればそれも1つの投資判断でしょう。
絶対にやってはならないのは、「配当利回りが高い理由は分からないけれど、配当金をたくさんもらいたいから投資しよう」といった考えで投資することです。
それでは、「配当利回りの高い銘柄に投資するのはリスクが高い」 ことについて解説します。
配当利回りの高い銘柄に投資するのはリスクが高い理由
配当利回りが高いということは、どういうことなのかを考えていきます。
配当利回りの計算式
まず、配当利回りが高くなる原因を知るには、配当利回りがどのような計算式で算出されるかを把握する必要があります。
配当利回りについて詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
例えば、配当金100円で株価が2000円であれば、配当利回りは5%です。
以上の数式から、配当利回りが高くなる原因は2つあることが分かります。
- 配当金が(一時的に)増えた
- 株価が(相対的に)低い
1つ目は、配当金が(一時的に)増えたことです。配当金が増えて、配当利回りが高いと考えられます。
2つ目は、株価が(相対的に)低いことです。なんらかの理由で市場からの評価が低く、株価が低いと考えられます。
これらの理由についてもう少し深堀していきましょう。
高い利回りの理由①配当金が一時的に増えただけに過ぎない
まずは、配当金が(一時的に)増えたことに着目します。
明和産業の利回りが13.88%と高くなった原因は、配当金が(一時的に)増加したためです。
過去10年間の年間配当金の推移を下に示しました。
上記の表とグラフを見てもらえれば一目瞭然ですが、過去の配当金と比較して2022年3月期の配当金(予想)が異常なまでに高くなっていることが分かります。
例年であれば配当金は10円前後、直近の一番高い時で56円であったのに対して、118円の配当金は何かおかしいと感じなければなりません。
ここではあまり触れませんが、以下の理由で過去類を見ない配当金の増額をしたのです。
実際に株価チャートを見てみると、配当金の増額を発表した8月末から一気に株価が上昇していることが分かります。
高い利回りの理由②株価が相対的に低い
次は、株価が(相対的に)低いことに着目していきます。
本来であれば前期(2021年3月)と比較して配当金が約8倍になっているので、株価も約8倍になってもおかしくないのです。
ところが、配当金の増額が一時的であることが明らかであるため、株価は2-3倍にしかなっていません。
では、なぜ配当金の増額が一時的といえるのでしょうか。
そもそも配当金の元手は、企業の利益になります。
つまり、1株あたりの利益と配当金を比較することで、無理に配当を出しているかどうかを判断できます。
無理に配当を出しているかどうかは、配当性向で確認しましょう。配当性向を知らない場合には、過去の記事を参考にしてください。
では、明和産業は配当金を1株あたり118円にしましたが、その分の利益を稼げているのでしょうか。
下の表には、明和産業の過去5年間の売上高や利益がまとめてあります。
表中の「修正1株益」=「1株あたりの利益」であるため、今期の予想では1株あたり55.1円しか利益が出ない想定です。
55円の利益しか出ていないのに、118円の配当金を株主に還元しようとしています。利益以上を還元していて心配です。
これを通常の生活に置き換えると、給料(利益)が55万円入ってきたが、生活費(配当金)に118万円使うといったイメージです。
家計は当然赤字ですし、ずっとこの生活費(配当金)を続けることはできません。
今回の配当金118円を継続することはできず、一時的であることが明らかです。おそらく、来期は配当金を維持することはできないでしょう。
配当金の増額が今回限りの一時的なものである可能性が高く、それほど株価が上がっていない。
つまり、株価が(相対的に)低いのです。
株価が(相対的に)低いから、配当利回りが13.88%と異常なまで高くなっていると考えられます。
そして配当利回りが高いから投資したにもかかわらず、配当利回りがすぐに下がってしまうのです。
これこそが、配当利回りが高い銘柄に投資するのはリスクが高く危険な理由になります。
まとめ
配当利回りが高い銘柄に投資するのは、リスクが高く危険な理由を解説しました。
配当利回りが高いのは、①一時的に配当金が増額 ②株価が相対的に低いといった原因が隠されています。
そして、配当利回りの高い銘柄は、その高い配当金を維持することができない可能性が高いです。
投資初心者の人は 「配当利回りの高い銘柄に投資するのはリスクが高い」ことをしっかりと理解して投資するようにしましょう。