今回紹介するのは「日本BS放送」です。ビックカメラの子会社として知られ、BS11を運営しています。
そして日本BS放送は株主優待がとても人気のある銘柄でしたが、株主優待廃止の発表により株価が暴落しました。
日本BS放送の銘柄分析をしますので、ぜひ投資の参考にしてください。
日本BS放送の銘柄分析(9414)
事業
日本BS放送は、BSデジタルの放送会社です。
競馬が好きな人にとっては、競馬中継を頻繁に放送している企業として認知されているでしょう。
日本BS放送に限らずテレビ局は、広告主からの広告収入が主な売上になります。広告代理店を通じて広告を流したい企業へ広告枠を提供します。
そしてテレビ局の収入には「タイム収入」と「スポット収入」があります。
- タイム収入:番組の放送時間の途中で放送する広告から得られる収入
- スポット収入:番組間や特定の番組と関係なく放送する広告から得られる収入
そして日本BS放送が運営するBS11の強みは以下のとおりです。
- 独立系(地上波系列ではない)のため、自由な編成が可能
- ドラマ・アニメ・競馬など幅広い年齢層の視聴者
- ビックカメラを親会社に持つため、消費者へのダイレクトな企画が可能
それでは日本BS放送の事業概要を大まかに把握できたと思うので、銘柄分析をしていきます。
株価
まず、株価の6か月チャートを見ていきましょう。
株価1000円~1075円の間でボックス相場を形成しています。2022年に入ってからは世界的に株式市場が荒れていますが、そういった難しい相場環境でも安定した値動きです。
しかし、7月下旬に株価が一気に下落し、現在の株価は1000円を割り込んだ状態が継続しています。
この株価の下落の原因は、株主優待の廃止です。
株主優待の廃止については後ほど詳しく解説しますが、日本BS放送の株主優待はとても人気が高く、株価を高く維持する効果がありました。
株主優待が廃止されたことによって優待目当ての投資家による売り圧力が高まった結果、株価の下落が引き起こされたと考えられます。
次に、 株価の10年チャートを見ていきます。
2017年から2018年は株価が高い時期でしたが、それを除くと株価は1000円~1200円の範囲に収まることがほとんどです。
個別株にしては株価の急激な上昇や下落が目立たないように感じます。特に2019年以降はそれが顕著です。
株価がそれほど動かない要因としては株主優待の存在もあると思いますが、一般的には株価はEPSと連動することからEPSの推移も関係してきます。
つまり、株価の値動きが比較的少ないのは、利益(EPS)に大きな変化がなく毎年のように一定の利益を稼ぎ続けているのではと予想できます。
株価の動きとEPSの増加(減少)をセットで確認するようにしましょう。
売上高(営業収益)
日本BS放送の売上高の推移を確認していきましょう。
現在も成長中の企業であれば売上高は毎年増加しているはずです。日本BS放送の場合はどうなっているでしょうか。
過去10年間の売上高推移で確認してみると、売上高は毎年増加していることがわかります。
2018年8月期までは売上高が毎年増加していましたが、2019年8月期以降は売上高が減少もしくは横ばいの傾向です。
コロナの影響を大きく受けたと思われる2020年8月期については、前年度と比較して売上高が減少しました。。
それ以降は徐々に売上高が回復してきていますが、今期の売上高予想はコロナ前の水準にまで何とか回復しそうです。
日本BS放送の売上の中心は広告費であることから、広告主となる企業が広告宣伝費に費用を投じるかどうかがポイントになります。
EPS
日本BS放送のEPSの推移を確認していきましょう。
EPSは1株純利益のことで、利益がどれだけあるかを示す重要な指標です。
このEPSが増加していれば、1株あたりの利益が増加しているといえます。それに連動して株価も上昇します。
2012年8月期以降は70円から100円の範囲に収まっており、EPSはほぼ横ばいといえます。
つまり、毎年一定程度の安定した利益を稼ぐことができる企業といえます。急激に利益が増えることも無ければ、利益が減少してしまい赤字に陥る可能性は低いといえそうです。
売上高と利益が今後2倍3倍になり、株価も2倍3倍になることは期待できません。
しかし、安定した利益(EPS)を毎年稼ぐ力はあるため、配当金や株主優待(廃止が決定してしまいましたが…)による株主還元に注力しているわけです。
配当金や株主優待狙いの長期投資の場合、EPSは最低でも横ばい(できれば増加)である銘柄を選びましょう。
自己資本比率
日本BS放送の自己資本比率の推移です。
自己資本比率は財務の健全性を表す指標で、自己資本比率が高いほど財務の健全性が高く、倒産しにくい企業といえます。
日本BS放送の自己資本比率は約90%と極めて高いです。
一般的に自己資本比率が80%以上になると財務健全性が高く、(財務健全性の視点では)優良企業と評価されます。
一方で、自己資本比率が30%以下になると財務健全性が低く、(財務健全性の視点では)問題のある企業と評価されます。
上記の基準に当てはめると、日本BS放送は財務健全性の高い優良企業です。
この自己資本比率の高さ(財務健全性の高さ)は、日本BS放送の特徴の1つといえるでしょう。
長期投資という観点では、自己資本比率が高い企業の方が安心して株を保有することができます。
日本BS放送の配当金・株主優待
配当金
日本BS放送の配当金を確認していきます。
配当金を目当てに投資をする場合は、「配当金がどれくらいもらえるか」「増配(減配)しているか」は非常に重要な情報になります。
日本BS放送の過去10年間の配当金は増加傾向からの近年は横ばいであることが分かります。
コロナショック以降(2020年8月期以降)の配当金は1株20円で横ばいです。それまで増配が続いていましたが、それが止まってしまったのは残念な気がします。
配当金はEPSから捻出するため、EPSが毎年増加傾向でないと配当金の増配を継続するのは難しいです。
先ほどEPSを確認したように、日本BS放送のEPSは横ばいで推移しているので配当金の増配はそう簡単なことではないでしょう。
一般的に、EPSが増加し続ける限りは配当金の増配を継続することはできます。
配当金を増配できるかはEPSが増加しているかで簡単に推測することが可能なので、銘柄分析をする際には必ず確認するようにしましょう。
現在の株価で配当利回りを計算すると約2%と決して高配当銘柄ではありません。
しかし、日本BS放送は株主優待がとても充実しているので、それも含めて評価する必要があります。そして株主優待が最近廃止されてしまったのです。
株主優待
日本BS放送のの株主優待はとても豪華なことで知られています(知られていました)。8月と2月の年に2回もらうことができたのです。
日本BS放送はビックカメラの子会社ということもあり、8月には「ビックカメラで使用できる商品券1000円相当(1年以上で2000円相当)」、2月には「ビックカメラで使用できる商品券1000円相当」がもらえます(もらえました)。
つまり、年間最大で3000円相当の商品券です。この株主優待は個人投資家にはとても人気で、管理人も投資を検討していました。
ところが投資しようとした直前になって、株主優待廃止が突然アナウンスされたのです。3000円相当の株主優待が廃止されたことで投資妙味が無くなり、株価が下落しました。
株主優待廃止の理由は以下のとおりです。
最近はオリックスでも株主優待廃止が発表されたように、「配当による株主還元」を重視する企業が増えています。
日本BS放送もその流れで株主優待廃止に至りました。株主優待は2022年8月末時点の株主で最後になります。
今後は、株主優待廃止の代わりに配当金をどれだけ増配するか注目です。今のところ配当金をどれだけ増配するかはアナウンスされていないので、その内容によっては株価がさらに下落する可能性があります。
長期保有特典を除けば2000円相当の価値が株主優待にはあったので、2000円くらいは増配してほしいなと思います。
まとめ
今回紹介したのは「日本BS放送」という放送局です。
ビックカメラの子会社ということで株主優待のビックカメラ商品券がとても人気でしたが、2022年8月を最後に株主優待は廃止されます。
株主優待の廃止によって売り圧力が高まり、株価が大きく下落しました。
財務面では自己資本比率が高く、倒産する可能性が低いです。EPSも安定して横ばいで推移しており、株価の上昇はあまり望めませんが配当金を継続してもらうことはできるでしょう。
投資の際には今回の銘柄分析を参考にしていただけたらありがたいです。