iDeCoは証券会社によって投資可能な商品が変わる
iDeCOは個人型確定拠出年金と呼ばれ、老後の年金の不足分を補うためにiDeCoを始めようか迷っている人が多いのではないでしょうか。
iDeCoで注意しなけらばならないのが、以下の3つの事項です。
- 証券会社によって投資商品が異なる
- 証券会社によって口座手数料が異なる
- 原則60歳まで引き出せない
今回は、その中でも特に重要な「①証券会社によって投資商品が異なる」ことについて記事をまとめています。
そして多くの個人投資家が口座を開設している楽天証券を例に、iDeCoのおすすめの投資信託の条件を解説します。
今回の記事を読んでいただければ、iDeCoで選ぶべき投資商品が分かるようになるので、最後までお付き合いください。
iDeCoのおすすめ投資信託(楽天証券)
楽天証券の取り扱い投資信託
iDeCoで選べる投資信託は、証券会社によって異なります。
一例として楽天証券で取り扱っている投資信託を示します。
上記は一例ですが、国内株式や外国株式などの投資信託がそろっています。
そして投資信託によって信託報酬や運用成績、構成銘柄が大きく異なるので、長期の資産形成に向いている投資信託を選ぶ必要があるのです。
おすすめ投資信託の条件
iDeCOは原則60歳まで引き出すことができないため、必然的に数10年以上の長期運用が前提になります。
例えば30歳からiDeCoを始めた場合、30年間も運用期間があるわけです。
つまり、長期的に成長が見込める投資信託を選ぶことがiDeCo成功の秘訣になります。
以上のことから、iDeCoでおすすめの投資信託の条件をまとめてみました。
- 資産タイプ:株式
- 投資対象:米国 or 先進国 or 全世界
- 信託報酬:0.2%程度
資産タイプは、株式以外にも債券やリート(不動産投資信託)などがありますが、数10年以上の長期の運用期間では株式のリターンが最も優れています。
投資対象は、「米国や先進国、全世界」を選ぶようにしましょう。
日本は今後の人口減少による経済の拡大が難しくなるため、日本だけに投資するのはリスクがあります。
そのため、これからも人口が増えて経済成長が見込める米国を含んだ投資対象を選びましょう。
信託報酬は、投資信託を運用する際に運用会社に支払う手数料のことです。手数料が高いと余分な手数料を支払うことになることから、0.2%程度の信託報酬が目安になります。
そしてこれらの条件を満たした投資信託は以下の3つです。
- たわらノーロード 先進国株式
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
投資信託の名前だけを見てもどういった商品か分からないと思うので1つ1つ解説していきます。
たわらノーロード先進国株式
楽天証券のiDeCoでおすすめの投資信託1つ目は「たわらノーロード先進国株式」です。
それではどういった投資信託なのか解説していきます。
基本情報
たわらノーロード先進国株式の基本情報を表にまとめました。
資産タイプ | 外国株式 |
投資対象 | 先進国(日本除く) |
連動指数 | MSCIコクサイ・インデックス |
信託報酬 | 0.1099 % |
純資産 | 1960億円 |
設定日 | 2015年12月18日 |
資産タイプと投資対象は、先進国の株式です。
最大の特徴は日本を除く先進国に投資している点になります。
連動を目指す指数が「MSCIコクサイ・インデックス」のため、指数自体に日本が含まれておらず「たわらノーロード先進国株式」は投資先に日本を含んでいません。
日本株に投資したくない、あるいは日本株には個別株で投資するという場合には、日本が含まれていないことがメリットとして作用します。
信託報酬も約0.1%と格安です。信託報酬が高いとそれだけ余計なコストを運用会社に支払うことになり、リターンが減ってしまいます。
組入銘柄・投資対象国
まず投資比率の高い上位10銘柄は、以下のとおりです。
「アップル」「マイクロソフト」「アマゾン」「グーグル」など米国を代表するハイテク企業が上位を占めています。
先進国の企業が投資対象ではありますが、米国の株式市場は世界最大かつ企業規模も大きいため、上位は米国企業で独占されています。
それでは、投資対象国と業種を見ていきましょう。投資対象国と業種は以下のグラフのとおりです。
投資対象国は約70%が米国になっています。それ以外では、英国やカナダがその次に続きます。
先進国という名前がついているものの、投資対象国はほぼ米国で占められていることを覚えておきましょう。
そして先ほども説明したように、日本は投資対象国に含まれていないことがグラフからも分かります。
業種はテクノロジー系の割合が高くなっています。
基準価額と純資産
それでは、基準価額と純資産の推移です。
基準価額のパフォーマンス(リターン)は設定日を基準にすると、+100%を超えています。
2020年3月のコロナショックでは急激な下落を経験していますが、基本的には右肩上がりのきれいな上昇曲線です。
そして純資産額も毎年順調に増えています。
まとめると以下のようになります。
- 基準価額:運用開始から2倍以上に成長
- 純資産額:現在では1960億円まで増加
リターン
次に、たわらノーロード先進国株式の年別のリターンです。
なお、たわらノーロード先進国株式の設定日は2015年と運用期間が短いため、連動する指数の「MSCIコクサイ・インデックス」の年別リターンを用います。
以下のグラフが年別のリターンです。
直近10年間の年平均リターンは11.9%、直近20年間の年平均リターンは8.6%、直近30年間の年平均リターンは9.6%です。
年リターンが10%の場合、1年間の運用で資産が10%増加することを意味します。
例えば100万円投資していたら1年後に110万円(+10%)になります。
では、10年前、20年前、30年前に100万円投資していたら、現在いくらになっているでしょうか。
- 10年前:100万 → 308万
- 20年前:100万 → 522万
- 30年前:100万 → 1570万
結果は、10年前に投資していたら100万円が308万円、20年前に投資していたら100万円が522万円、30年前に投資していたら100万円が1570万円に増加しています。
今後も同じペースでリターンが継続するかは分かりませんが、過去30年間の実績では約16倍に成長したことは事実です。
楽天・全米株式インデックス・ファンド
楽天証券のiDeCoでおすすめの投資信託2つ目は「楽天・全米株式インデックス・ファンド」です。
通称「楽天VTI」と呼ばれている人気の投資信託で、個人投資家にも人気があります。
VTIは米国全体に投資可能なETFであり、それを楽天証券が投資信託化したものが「楽天・全米株式インデックス・ファンド」です。
それではどういった投資信託なのかもう少し深く解説していきます。
基本情報
楽天・全米株式インデックス・ファンドの基本情報を表にまとめました。
資産タイプ | 外国株式 |
投資対象 | 米国 |
連動指数 | VTI |
信託報酬 | 0.1620 % |
純資産 | 5740億円 |
設定日 | 2017年9月29日 |
資産タイプと投資対象は、米国の株式です。最大の特徴は米国しか含まれないになります。
連動を目指す指数は「VTI」です。
信託報酬も約0.16%と十分安いです。信託報酬が高いとそれだけ余計なコストを運用会社に支払うことになり、リターンも減ってしまうのは言うまでもありません。
組入銘柄・投資対象国
まず投資比率の高い上位10銘柄は、以下のとおりです。
「アップル」「マイクロソフト」「アマゾン」「グーグル」など米国を代表するハイテク企業が上位を占めているのは、たわらノーロード先進国株式と同様です。
ただし、楽天・全米株式インデックス・ファンドは米国だけに投資しているので、米国以外の先進国には全く投資していません。
それでは、業種を見ていきましょう。業種は以下のグラフのとおりです。
業種はテクノロジー系の割合が高いのは、たわらノーロード先進国株式と同様です。
基準価額と純資産
それでは、基準価額と純資産の推移です。
基準価額のパフォーマンス(リターン)は設定日を基準にすると、+100%を超えていることがわかります。
2020年3月のコロナショックでは急激な下落を経験していますが、そこからは急激な回復を見せ、右肩上がりのきれいな上昇曲線を描いています。
純資産額についても毎年順調に増えています。
リターン及び純資産額の増減は、たわらノーロード先進国株式と同様の傾向です。
まとめると以下のようになります。
- 基準価額:運用開始から2倍以上に成長
- 純資産額:現在では5740億円まで増加
リターン
次に、楽天・全米株式インデックス・ファンドの年別のリターンです。
なお、楽天・全米株式インデックス・ファンドの設定日は2017年と運用期間が短いため、連動する指数の「VTI」の年別リターンを用います。
以下のグラフが年別のリターンです。
直近10年間の年平均リターンは13.9%、直近20年間の年平均リターンは9.3%です。
では、10年前、20年前に100万円投資していたら、現在いくらになっているでしょうか。
先ほどと同じように計算してみました。
- 10年前:100万 → 368万
- 20年前:100万 → 595万
結果は、10年前に投資していたら100万円が368万円、20年前に投資していたら100万円が595万円に増加しています。
今後も同じペースでリターンが拡大するかは分かりませんが、過去20年間の実績では約6倍に成長したことは事実です。
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
楽天証券のiDeCoでおすすめの投資信託3つ目は「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」です。
通称「楽天VT」と呼ばれている人気の投資信託で、先ほど解説した「楽天VTI」と同じく個人投資家に人気があります。
VTは先進国および新興国(全世界)に投資可能なETFであり、それを楽天証券が投資信託化したものが「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」です。
楽天VTIが米国全体を投資対象としていましたが、楽天VTでは全世界を投資対象としています。
それではどういった投資信託なのかもう少し深く解説していきます。
基本情報
楽天・全世界株式インデックス・ファンドの基本情報を表にまとめました。
資産タイプ | 国内外株式 |
投資対象 | 全世界(日本含む) |
連動指数 | VT |
信託報酬 | 0.2020 % |
純資産 | 1780億円 |
設定日 | 2017年9月29日 |
資産タイプと投資対象は、国内外の株式です。最大の特徴は日本も含め全世界に投資している点になります。
連動を目指す指数は「VT」です。
信託報酬も約0.2%と今回の中で一番高いですが、全世界に分散投資していることを考慮すると十分安いといえます。
組入銘柄・投資対象国
まず投資比率の高い上位10銘柄は、以下のとおりです。
「アップル」「マイクロソフト」「アマゾン」「グーグル」など米国を代表するハイテク企業が上位を占めているのは、たわらノーロード先進国株式や楽天・全米株式インデックス・ファンドと同じです。
ただし、楽天・全世界株式インデックス・ファンドは米国や先進国以外にも中国や台湾などの新興国にも投資しています。
それでは、業種と投資対象国を見ていきましょう。
業種と投資対象国は以下のグラフのとおりです。
業種はテクノロジー系の割合が高いのは、たわらノーロード先進国株式や楽天・全米株式インデックス・ファンドと同様です。
そして最大の特徴が、中国や台湾などの新興国にも投資している点です。
そのため、米国の投資割合は約60%と今回の投資信託の中では最も割合が低くなっています。
しかし、全世界を投資対象にしていますが、約60%は米国に投資していることは覚えておきましょう。
基準価額と純資産
それでは、基準価額と純資産の推移です。
基準価額のパフォーマンス(リターン)は設定日を基準にすると、現時点では+75%付近まできています。
2020年3月のコロナショックでは他の投資信託と同様に急激な下落を経験していますが、そこからは急激な回復を見せ、右肩上がりのきれいな上昇曲線を描いています。
純資産額についても毎年順調に増えています。
まとめると以下のようになります。
- 基準価額:運用開始から1.75倍に成長
- 純資産額:現在では1780億円まで増加
リターン
次に、楽天・全世界株式インデックス・ファンドの年別のリターンです。
なお、楽天・全世界株式インデックス・ファンドの設定日は2017年と運用期間が短いため、連動する指数の「VT」の年別リターンを用います。
以下のグラフが年別のリターンです。
直近5年間の年平均リターンは10.8、直近10年間の年平均リターンは9.9%です。
では、5年前、10年前に100万円投資していたら、現在いくらになっているでしょうか。
先ほどと同じように計算してみました。
- 5年前:100万 → 167万
- 10年前:100万 → 256万
結果は、5年前に投資していたら100万円が167万円、10年前に投資していたら100万円が256万円に増加しています。
今後も同じペースでリターンが拡大するかは分かりませんが、過去10年間の実績では約2.6倍に成長しました。
まとめ
最後に、楽天証券でiDeCoのおすすめの投資信託についてまとめてみました。
あくまでも一例ではありますが、投資信託の選び方の参考にしてください。
- 日本以外の先進国に投資したい→「たわらノーロード先進国株式」
- 米国だけに投資したい→「楽天・全米株式インデックス・ファンド」
- 何に投資していいかわからない→「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」
また、楽天証券以外でiDeCoをやる場合にも投資信託の条件は変わりませんので、こちらも参考にしてください。
- 資産タイプ:株式
- 投資対象:米国 or 先進国 or 全世界
- 信託報酬:0.2%程度
iDeCoは掛金(投資額)が控除されるので節税につながります。
どれくらい節税できるのか解説していますので参考にしてください。
iDeCoで節税したお金を全額投資するとどうなるか解説しています。